特命助教、安全管理対策室室長
西平 淳子
にしひら じゅんこ
診療科
患者安全の推進は、”個人の能力”に頼ることから”システムでの対策”へパラダイムシフトし、さらに”チーム力”が必要不可欠な因子であることが認識されるようになりました。高い”チーム力“を持つには、医療職だけでなく、患者さんご本人やご家族も一緒に参画することが大変重要とされます。
例えば、職員から患者さんへ「〇〇さんですね?」と呼びかけるよりも、患者さんご自身に「姓名(フルネーム)」と「生年月日」を伝えていただき、職員はリストバンド等で照合確認をした方がより確実に患者間違いを防ぐ効果があります。
当室は令和7年(2025年)の病院移転を契機に、名称を「患者安全推進室」へ変更しました。医療は不確実な要素を内包し、一定の確率でインシデントが生じるとされます。インシデントを振り返り報告することは、抽出力や透明性の高い病院へと繋がります。私たちは患者参画型の医療安全を推進しながら、職員の自発的なインシデント報告を推奨し、現場と一緒により有効な再発防止策の実施を目指します。
我が国では1999年頃から重大医療事故が相次いで報道され、いわゆる「医療安全元年」といわれています。それ以降、飛躍的に全国的に医療安全対策が議論展開されました。医療の安全確保は最重要課題であり、個人の問題ではなくシステム全体の問題であり体系的にチームで実施すべきである、との考えが浸透しました。さらに「医療の質と安全性の向上」や、発生した「インシデントの分析に基づく再発防止策の徹底」、「患者さんの積極的な医療安全への参加」と「情報共有の重要性」が推進されるようになりました。
当院では2000年から院内のインシデントを医療現場の職員が報告し、改善策を施していく組織的な体制づくりに取り組んできました。翌年には医療現場の安全確保を業務とする「安全管理対策室」を設置しました。安全管理対策室には特定機能病院の要件の医師・薬剤師・看護師が配置され、事務職員と一緒にそれぞれの視点を活かしてチームで医療安全向上を推進しています。
一般的に、個人への注意喚起のみでは医療事故・インシデント等防止策として限界があり、“エラー(誤り)”を前提とした、エラーを誘発しない環境整備やエラーが事故に発展しない組織づくりが重要とされます。私たちは、医療現場の“主体的で、自主的な、安全な医療に向けた取り組み”を促進するため、現場からの報告を真摯に分析し、現場とともに再発防止策を構築します。再発防止策の実施・継続を支援し、安全で質の高い医療を提供する医療環境を整えてゆきます。
特命助教、安全管理対策室室長
西平 淳子
にしひら じゅんこ
診療科・中央診療施設等・部・その他のご案内