琉球大学病院について
本院は「患者本位の質の高い医療と地域貢献する医療人の育成」を理念に掲げ、人間性豊かで専門性と知識を持つ医療人の養成に力を入れています。戦後のアメリカ統治時代から評価されてきた屋根瓦方式を基盤とし、医学部生に臨床実習や研修プログラムを提供。また、初期研修医や専攻医には、臨床研修センターとキャリア支援センターを通じた研修と専門医資格取得支援を行い、復職支援も実施しています。
沖縄県唯一の医育機関である本院は、離島地域や本島北部の医師不足解消と質の高い地域完結型医療の提供を目指し、総合臨床研修・教育センターを設置しています。このセンターは臨床研修、キャリア支援、多職種支援、歯科医師支援を行い、研修医や指導医、特定行為看護師など医療者の育成に注力。また、おきなわクリニカルシミュレーションセンターを活用し、医学知識や技術、医療安全や倫理教育も提供し、地域完結型医療の専門的な医療人を養成しています。
本院は沖縄県の地域特性に基づき、感染症・寄生虫学、健康長寿の復興、希少疾患、創薬、人類遺伝学、国際保健学などの研究を推進しています。補助金を活用し、臨床研究者の育成と支援体制も整備。令和6年度には「迅速で一貫した伴走型支援」を提供する臨床研究基盤構築を計画し、専任職員やデータ活用による医師の負担軽減、社会的適正化、研究力向上を図っています。
第8次沖縄県保健医療計画(令和6年3月)では、県民ニーズに即した医療サービス提供、疾病ごとの医療連携、離島・僻地医療の向上、医療従事者の養成と資質向上が課題とされています。本院は県内唯一の医師育成施設・特定機能病院として、専門医療の提供や県内病院との連携を通じ、離島や北部地域の医療体制の構築、医療研究・教育による県の将来の医療支援に重要な役割を担っています。
経済財政運営と改革の基本方針2023(令和5年6月16日閣議決定)に掲げる「沖縄健康医療拠点の整備を始めとした基地跡地の利用」を受け、本院及び本学医学部は、令和6年度(2024年度)末に宜野湾市西普天間住宅地区への移転を予定している。新病院では、沖縄の医療の特性(開かれた国際性を背景とした感染症リスク・島嶼性に起因する疾病構造)を踏まえつつ、県立病院等と連携し、「高度医療・研究機能の拡充」、「地域医療水準の向上」、「国際研究交流・医療人材育成」の中核を担うことで、「沖縄健康医療拠点」5としての役割・機能を果たしていく。