就任の挨拶 銘苅 桂子 周産母子センター教授
 はじめまして。
琉球大学医学部附属病院周産母子センター教授を拝命いたしました、銘苅桂子と申します。 生殖医療の現場では、不妊に悩むカップルが、出口の見えないトンネルを抜けようと必死に頑張っています。腹腔鏡手術は小さな傷で子宮がんや子宮筋腫などを摘出することができ、術後の痛みの軽減、傷が目立たないと言った理由で、女性に優しい手術です。
 周産期の現場では、ときに母親は命がけでお産に臨みます。一方で、女性の社会進出は、女性の生殖に関わる分野に歪みをきたし、症状は複雑化しています。正解を見極めるには、一人一人の希望に耳を傾け、最新のエビデンスと最良の技術を駆使したテイラーメイド医療が必要です。そして、そういった女性に寄り添い、治療を継続していくために、女性医師は大きな役割を果たしています。
 しかしながら、大学病院という過酷な現場で、育児をしながら女性医師が仕事を継続するのは本当に大変なことです。治療に奮闘する彼女たちが、「過酷」を理由に立ち去ることがないよう、医療現場の働き方改革と教育の両輪で、共に成長していきたいと思います。
 同時に、生殖医療・産婦人科内視鏡下手術のさらなるレベル向上と安全で満足度の高い周産期医療を提供できるよう、より一層精進して参ります。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

“中央診療施設等の紹介 からだに優しい治療(低侵襲治療)” 國吉 幸男 心臓血管低侵襲治療センター長 第二外科教授
 医療の進歩は予想もつかないほどに急速に起こっています。多くの病気に対する治療法が開発されその効果が日々報告されています。しかしながら、その治療法は多少なりとも体全体には“害”を及ぼします。内服薬による副作用、手術での合併症等です。心臓の手術で言えば、心臓に到達するためには、皮膚を切開し、胸骨を縦に切開し、心膜を切開することが必要です。その作業を経たのちに、本番である心臓手術、すなわち弁置換術、バイパス手術、大動脈手術が行われます。上記の下線部分の作業が無ければ、合併症である難治性創傷、骨髄炎、縦郭炎の合併症は決して起こらないはずです。
 では、これらの作業工程を回避するにはいかなる方法があるのでしょうか?それは心臓から出ている血管を逆に辿って、細い管(カテーテル)で心臓に到達する方法です。よく聞く、カテーテル治療です。動脈、静脈は原則すべての臓器と繋がっています。したがって、あらゆる臓器の治療がカテーテル治療で完遂出来るはずです。現時点では、冠動脈狭窄、大動脈瘤、脳動脈瘤等に対するカテーテル治療が行われてきています。最近のトピックは心臓弁に対するカテーテル治療が開発され、当琉大病院でも通常治療として行われており、通常の心臓手術に耐えられない患者が大きな福音を得ています。
 心臓血管低侵襲治療センターは、“からだにやさしい治療(低侵襲)”を、各科横断的に且つ集中的に行うことを目的として昨年9月に組織・設立しました。世界的にこのカテーテル治療は医療の大きな潮流であります。今後とも、どんどんこれら最新治療を取り入れ、ないしは自ら開発して医療の発展に貢献していく所存です。