長い間ご苦労様でした

心のこもった医師の教育

 医師教育機関の債務は、単なる医療技術を持つ、心がないロボット的な医師を育成するのではなく、患者様の立場に立って実証され、整理された医学データを利用し、治療法の正しい決断を下し、患者様を理解し、苦しみを和らげるために、実際の治療で思いやりに満ちた医療ができる医師を育てることにあると思います。(しかしながら、「言うはやすく、行うは難し」で、残念ながら私の能力不足を痛感しています。)
 心のこもった診療とは、医師自身が自分の精神状態(平常心であるか否か)を深く理解し、じっくりと患者様の話を聴き、患者様の病気に対して柔軟性をもって対応し、医師は偏見と正しい判断を認識して高度の倫理観と慈愛を持って診療することと言えます。少し難しい説明になり恐縮に思いますが、「患者様があの医師に見てもらって感謝し、あの医師が居られるから、また、あの病院に見てもらいに行く」といわれるような医師を育てることです。
 それでは、心のこもった医師になるには、どのようなことを研鑚すべきかに話を移しましょう。心ある(思慮深い)医師は、目で見てわかるような方法ではないが、日々の診療の中で患者様に対すると同様に自分自身にたいしても気配りをしている。すなわち、このように思慮深い医師は注意深く患者様の苦しみを理解し、自らの誤りを知り、診療技術を向上させ、医学的根拠 (evidence) に基づいた診療の決定を行えるように努力しています。思慮深いことは、仕事上の事実および個人的な経験・過程・技術(ノウハウ)など、職業上関連するすべての知識を提供することになります。これらの知識は、言葉として表現できないものもあります。言葉で表現できる明確な知識は、容易に教える事ができ、医学的根拠に基づいたガイドライン(教科書など)としてつくることができます。言葉で表現できない知識は一般に、これまでの経験や実践中の観察と実践から習得されるもので、これも大切なものであります。
 心ある医師は、さまざまな方法を用いてその場その場に応じた自己観察する能力を高めたり、言葉で表現できない個人的な知識や価値観を意識的に使い、新しい情報や考え方を取り入れ、新しい状況に対応できるように取り組んでいます。患者様−思慮深い医師との関係を中心に置いて、証拠に基づいた医療を提供することが、心のこもった診療ができる医師といえましょう。

(第一外科 武藤良弘)

第一外科 武藤良弘

 

 

 

おめでとうございます

第16回財団法人沖縄県医科学研究財団(比嘉幹郎理事長)表彰式が平成14年2月20日那覇市内のホテルにて開催され、琉球大学医学部および附属病院から下記の方々が受賞されました。

 

研究奨励賞 金澤 丈治 先生 (琉球大学医学部附属病院耳鼻咽喉科 講師)
  大城 稔 先生(琉球大学医学部生化学第二講座 技術専門職員)
  佐久川 廣 先生(琉球大学医学部附属病院輸血部 講師)
研究助成者 金城 祥乃 先生(琉球大学医学部内科学第二講座 大学院生 )
  研究課題 『 甲状腺自己免疫疾患の病因、寛解指標の解明とその応用 』
  高橋 良明 先生(琉球大学医学部附属沖縄アジア医学研究センター感染免疫学客員研究員)
  研究課題 『 HTLVおよびHIV感染症のための基礎研究 』
  船附美奈子 先生( 琉球大学医学部保健学科保健医療学講座 大学院生)
  研究課題 『 出産満足度と産後3ヶ月までの育児不安との関連 』
特別若手研究助成者 上地玄一郎 先生(琉球大学医学部寄生虫学講座 大学院生)
  研究課題 『 フサウンバチイソギンチャク毒の健康被害に関する研究 』
p-02-02 p-02-03 p-02-04

 


 


  前のページ(No.19 p.1)
  次のページ(No.19 p.3)

  琉大病院HOTLINE目次


ホームページに戻る