平成14年3月25日

     University Hospital University of the Ryukyus          

琉大病院 HOTLINE 第19号

琉球大学医学部附属病院の患者様・職員のための情報誌

 

 

出産後 「母子同室」 のすすめ

 日本では終戦当時、出産はその95%以上までが自宅での分娩でした。感染症のため多くの新生児が死亡し、また母体死亡もありました。戦後はアメリカの指導により施設分娩が徐々に普及するようになり、現在では出産の95%以上が病院や開業医院などで扱われています。このような経緯にあって、とくに注目すべきことは、新生児感染を予防するために、出産後約1週間の入院中、新生児を母とは別の新生児室で管理する方法が広く普及しました。このような管理法は新生児感染率、死亡率をおおいに低下させました。この「母子異室」管理は、現在でも、約60〜70%の施設で行われています。
 ところが、この「母子異室」管理は、不自然であり、母と子の結びつきという点で望ましくないとの考え方があります。妊娠や出産、育児は病的な過程ではありませんので、異常がない限り、医療という人為的介入はなるべく避けるべきであります。出産後も母と新生児が同じ部屋で一緒に過ごせる環境、管理法、すなわち「母子同室」が望ましいとの見解であります。妊娠終了後、母と子のこころとからだの結びつきは、その直後からスタートします。母はもちろんのこと、新生児も、五感をとおして、子を、そして母をそれぞれ認識します。とくに、出産後はじめの数時間、また数日間は健全な母子結合、親子関係の形成のためのスタートととして、きわめて重大な時期とされています。母の育児への関心度、母乳栄養率、またマタニテイブルーズ、乳幼児虐待を含む精神的問題点など、いろいろな点で早期の母子接触の重要性が指摘されています。
 欧米では、出産後すぐに、あるいは、1日程度で自宅に帰りますので、このような「母子異室」管理という概念はほとんどありません。日本でも、清潔な環境のもとでの施設分娩が一般的となった今日、出産後入院中の「母子同室」管理が行われるようになることが望まれ、関心が高まりつつあります。当院では異常がない限り、希望により母子同室にし、母と新生児がいっしょに過ごすことをすすめております。どうぞお気軽に受診してください。

(病院長 金澤浩二)

 

病院長

 

 

4月1日から病院で支払う一部負担金が変わります

健康保険法などが改正され、4月1日から病院で支払う一部負担金が多くの場合3月までに支払っていた分と異なることになります。厚生労働省の方では全体的には”下げた”と言っている改正ですが、中にはこれまでより高くなる方もいらっしゃいます。
 改正内容はとても細かいので紙面での説明ができませんが、疑問な点がありましたら、どうぞ医事課の窓口でお尋ね下さい。個々のご質問にお答えします。

(医事課)




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