救急災害医療棟の竣工について

石郷岡 美穂ソーシャルワーカー 『感性を研ぎ澄ませ 患者さんの気持ちに寄り添いたい』 

 医療福祉支援センターの石郷岡 美穂です。私はソーシャルワークを生業 としています。病院で働くソーシャルワーカーをメディカル・ソーシャル ワーカー、略してMSWと呼ぶ時もあります。私たちは社会福祉の立場で患者さんを支援していますが、そこから連想されるのは、“医療・福祉制度 をたくさん知っている人”ではないでしょうか。制度の知識は医師でいう医学知識と同じでMSWに不可欠ですが、専門技術は「面接」です。面接にも技術があるの?と思われた皆様、実は私もそうでした。何気ない自然な会話の中にも技術があり、それが生涯磨き続ける“技”であることを悟ったのは経験10年目の頃でした。

 相談者の多くは不安や悩みが漠然としています。そんなものです。ま た、病気や障がいの体験はその人に本来備わっている“力”を低下させ、奥深くにしまいこませる事があります。面接ではその漠然としたものを言語化し、時には代弁者となり社会のあらゆる資源を活用して解決を支えます。すぐに解決できない大きな壁が行く手を阻み、自身に起きている現実を受け入れたくない心境の方も大勢おられるのですが、気持ちを分かち合うだけでも相談者は強さを取り戻します。解決だけに価値を置くのではなくその“過程”にも価値を見出すのがソーシャルワークです。

 私のマイブームは包丁研ぎです。一日の終りに包丁を研いでいると無心になり忙しかった時間がリセットできるのです。私自身も切れ味よく、且つ温もりのあるソーシャルワークサービスを提供し続けたいと思います。   

「高気圧酸素治療」とは

 電車のような大型タンクに一度に数名の方々が入り、その中の気圧を2〜3倍に高めてマスクで酸素吸入を行う簡単な治療が「高気圧酸素治療」です。いわゆる潜水病には不可欠な治療ですが、それ以外にガス中毒、重症感染症、腸閉塞、眼動脈閉塞、膠原病や熱傷などと、さまざまな病気に応用されています。なかでも多い病気は、放射線治療で起こった障害、糖尿病や高齢者の方にみられる足の潰瘍、あるいは突発性難聴です。特に欧米で臨床試験が行われて、この治療の効果が高いことがわかると、高齢者にも優しい治療法として米国を中心に世界的に広まっています。
 琉大病院の特徴の1つは、手術後に創(キズ)の治りが悪いと思われる場合や脳腫瘍の治療にも高気圧酸素が用いられていることです。どちらも先進的なものですが、井上治前部長が積極的に行ったことで、今では国内外に知られています。さらに、潜水による障害の救急診療は日本の先駆けですし、これは米軍病院との連携も含めて、湯佐祚子初代部長が積極的に重症者の受け入れを行ってきたからです。
また、井上前部長は潜水事故の予防活動を全県下で進めて、この災害での救急体制が整うことになりました。
 以上の歴史を礎に、医師、看護師とME技士とが協力し合いながら日々の診療に当たっています。