中高年女性の健康管理
ご承知のように、近年、わが国では少産少子化がすすむ一方で、世界一の長寿国であることから、中高年人口が絶対的にも相対的にも増加してきています。私は産科婦人科医でありますので、中高年女性の健康管理について少し触れてみたいと思います。
女性の閉経年齢は平均50歳であり、古今東西、変わりがないとされています(なお、初経年齢は次第に早くなってきています)。女性の平均寿命が85歳をこえる時代となった今日、閉経後平均30年余りの人生が残されることになりました。ちなみに、昭和20年頃までは、平均寿命は50歳でありましたから、閉経とともに死を迎えていた訳で、女性として理想的な一生であったと言えるかも知れません。すなわち、卵巣から女性ホルモンが分泌されなくなり、成熟期女性としての輝きが無くなると同時に死を迎えていたのであります。
閉経を中心とした前後5年程度の期間を更年期といい、身体的にも精神的にもいろいろな変化、訴えが生じますが、この時期を経過すれば、老年期となり、また落ち着いた状態になります。しかし、女性の場合、卵巣からの女性ホルモン分泌がなくなりますと、高コレステロール血症、糖代謝異常、骨代謝異常、脳の退行など全身性の老化が急速にすすみます。したがって、閉経後の生活の質QOLを望ましい状態に保つためには、女性ホルモンの投与が必要になることもあります。
人生50年の昔から人生85年の時代になりました。女性の場合、閉経前後、そして閉経後30年余りの長い期間の健康管理は、いわゆる中高年女性のための医療として大きな医療分野となり、さらに拡大されつつあります。女性は、いつまでも美しく輝いてほしいと思います
(病院長 金澤浩二)
|