国際貢献・世界6カ国の泌尿器科専門医が研修

 泌尿器科では、平成10年度から毎年国際協力事業団(JICA)の協力で泌尿器科臨床研修を実施しています。平成11年度は、8月23日から9月10日までの約3週間、ブラジル、中国、フィジー、パラグアイ、ペルー、タイの6カ国から医師を招きました。各国の医療事情はさまざまで、泌尿器科がない国もありました。研修に来た目的もさまざまで、泌尿器科診療を新たに実施したい、総合病院を作りたいなど、我々の研修に期待するものは大きく、責任の重さを感じました。

 研修に先立ち、柊山幸志郎医学部長、小椋 力病院長よりの歓迎のお言葉を頂戴し、病院内施設の見学を行いました。研修は、レジデント(研修医)や学生とともに行動し、回診、カンファレンス、外来、血液浄化療法、手術など我々の日常の臨床をありのまま見てもらいました。手術は、尿管や前立腺の内視鏡手術を見学しましたが、残念ながら予定に組まれていた腎移植は、患者さんの都合で中止となりました。 

 彼らの興味は、やはり最新の内視鏡手術にあるようで、前立腺の経尿道的手術を熱心に見学していました。内視鏡や光源の中古品が手に入らないかなど何度もたずねられました。ただ手術器械があったとしても内視鏡手術、特に前立腺の内視鏡手術を一人前に行うためには数百例の経験が必要で、これらの実地研修は今回のJICAの研修には含まれておらず、彼らの熱心な希望に合致するような研修を行うことが、今後の課題であると思われます。

 また、研修の期間中、助手以上のスタッフが1〜2時間、各自の専門分野のセミナーを実施し討論を行いました。セミナーでは質問が乱れ飛び、その質疑応答に四苦八苦しました。

 第1週目の週末には富士山麓に移動し、民間の施設において腹腔鏡の実習として、ブタの副腎と腎の手術をおこないました。大学からも3名の教室員が同行し、手術時の翻訳や手術のアシスタントをおこないました。はじめは恐る恐るはさみや鉗子を動かしていたのですが、次第に大胆になり、大きい血管が破れ、悪戦苦闘するのは昨年と同じでした。この内視鏡の研修は大変好評で、彼らにとっては得難い経験のようです。

 森田孟進学長を9月7日に表敬訪問し、琉球大学が多くの留学生を、各国より受け入れていることなどのお話を伺いました。

 医学部の留学生と9月9日に交歓の場(get-together party)をもちました。琉球大学に留学している8カ国よりの留学生8名を含めた総勢45名の関係者が参加しました。安澄文興国際交流委員長も参加して下さり、留学生には思い出深い会になったようです。

 最終日には沖縄国際センターに於いて、閉講式を行いました。その後パーティーでは、戦いの踊りなど各国の特技などが飛び出しました。ポリクリの学生もいくつかの出し物を披露し、楽しく交歓会を行いました。おそらく彼らは医学だけでなく、多岐にわたる沖縄の知識を得て帰路についたと思います。

 毎年、この研修が終わるたびに安堵感とともに彼らの熱意にうたれます。3週間の間、ご協力をいただいた各施設・部門の皆様にこの場を借りて感謝し、このような機会を与えてくれた国際協力事業団(JICA)と沖縄国際センター(OIC)に謝意を表したいと思います。

(文責 泌尿器科 秦野 直、糸数留美子)




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