平成11年5月30日

     University of the Ryukyus University Hospital          

琉大病院 HOTLINE 第4号

琉球大学医学部附属病院の患者様・職員のための情報誌



周産母子センターの新設

 周産母子センターが国の施設として、本年4月1日付けで認められました。このことを記念して、同日の午
後2時から病棟4階の産科婦人科病棟入口ホールで「周産母子センター」の看板上掲式を行いました。県福祉
保健部、県医師会の代表の方などをお招きしました。この件は、地元のTV・新聞で報道されました。

 本センターの部長には産科婦人科の科長である金澤浩二教授(併任)、センター副部長には、本センター専
任の佐久本薫助教授が決まりました。
 今後、本センター設置の目標が一日も早く達成されますよう、金澤部長を中心にご尽力していただきたいこ
とと、関係者の皆様の暖かいご支援をお願い申し上げます。

病院長  小椋 力 



周産期医療の総合的集中的展開

 母と子にとって出産と出生はきわめて大きな試練であり、母と子はからだの面でもこころの面でも劇的な変化を経験します。みなさまご承知のように、この分野は、産科と小児科との独立した医療をもってカバーされてきており、相互の連携はかならずしも十分ではありませんでした。


 近時、この時期を周産期または周生期としてとらえ、連続した一貫性のある管理を行うことの重要性が指摘されております。たとえば、産科・胎児医学の急速な発展により、従来はブラックボックスであった子宮内環境とその中に隠された胎児の状態を的確に評価することが可能となり、出生前の胎児診断と管理、さらには胎児医療へのアプローチも展開されるようになりました。すなわち、子は生まれてからだけの命ではなく、母の胎内にいる時からすでに一つの生きた個体として管理されるようになりました。一方、妊娠・出産・育児という大きな試練を経験する母の管理についても、妊婦健診、分娩管理といった単なる従来の産科医療の枠ではカバーしきれない展開がみられます。


 重篤な疾患をもった婦人でも妊娠・出産が可能となってきており、そこには関係する診療科の参加と協力が必要であります。また、母のこころのケアの重要性が指摘され、望ましい親子関係の出発点としての母と子の健全な結合を醸成するための管理体制も必要であります。このようなことから、周産期・周生期の医学・医療は、関係する複数診療科の参加と緊密な連携、協力を得て、総合的に集中的に展開していく必要があります。

 周産母子センターの組織ができましたが、今後の発展のた
めに施設と設備が必須条件となります。明解にして着実なビ
ジョンをもって進む必要があります。


 いずれにしても、周産母子センターの設置は、当附属病院
における周産期医療の発展と充実、この分野の専門医とコメ
ディカルの育成、学生教育などにとって、大きなインパクト
となるものと期待されます。さらに、医療の面で大きなハン
ディキャップを負っている沖縄県における健全な子孫繁栄の
ために寄与できるよう努力したいと考えております。
 よろしくご支援をお願いいたします。




周産母子センター部長
             金澤 浩二



看板上掲式
(左:小椋病院長、右:金澤センター部長)




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