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琉球大学医学部附属病院長 
須加原 一博 琉球大学医学部附属病院移転25周年を迎えて
 本年度4月より病院長補佐、卒後臨床研修センター長に就任いたしました。県内唯一の医師養成機関であり、地域医療の中核病院でもある大学病院の医療従事者の教育はどうあるべきか、本業である救急診療を行いつつ、院内外の仲間とともに汗を流し、奮闘の毎日を送っております。
 「医療崩壊」、「医師不足」、救急患者のいわゆる「たらい回し」など医療にまつわる問題がこれほど社会的に取り上げられるということは、現代人にとって「医療」がいかに関心の高いものであるかを端的に示しているものと思います。「医療」は供給する側の医療従事者と病院・診療所などの基盤、健康保険制度・診療報酬、保険料や支払い、受け手側の患者さん・家族の状況、地域社会の文化的要素など多岐にわたる要因がからんでくるもので、その中の一要素である「医師の育成」のみではすべてが解決できないのも事実です。しかし、大学病院はまさに医療の現場であり、教育の場であり、「本物」の医療者を育てるという使命を高く掲げ、実践しなければならないところです。皆さんからもそのような期待を持たれているものと思います。
 さて、それでは卒後臨床研修センターはどのようなことをするところかと疑問を持たれると思います。医学部を卒業し、医師国家試験を合格した医師の資格を持つものが2年間の臨床研修を行うことが平成16年から法律で義務付けられました。すなわち医師の資格を持ったものが将来にわたって良い医師となる基盤を作る標準的なしくみが厚生労働省の「新医師臨床研修制度」であり、卒後臨床研修センターは当院での研修プログラムの作成や運営、日常の研修の管理・運営などを通じて、質の高い研修ができるようにサポートしているチームとお考え下さい。もともと沖縄は、敗戦後に医療資源がほとんど0になってしまうという筆舌に尽くしがたい苦難から立ち上がった歴史をもつ特異性のある地域です。医療従事者の努力で可能なかぎりの医療を提供するのは当たり前のような文化、風土があったところです。「新医師臨床研修制度」はプライマリーケアやへき地医療への理解を深め、患者さんを全人的に診ることができる基本的な診療能力を修得することを柱として、いくつかの診療科を回りながら2年間の研修を行います。大学病院以外の本島・離島の病院、診療所とも協力してこの目標にそって若い医師たちを育てています。そして、沖縄県はもちろんのこと、アジアや世界の医療に貢献できる医師を生み出す、そのような目標に向かってまい進しております。皆さんからのご意見をお寄せ頂ければ幸いです。
(本題名は、太田祥一編著「本物」の医療者とはなにか―映画『ディア・ドクター』が教えるもの。へるす出版から一部引用しました。)

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