■ 2000-01-01 09:10 まで


放射線治療機器(RALS)のRIレベルが「0」表示

 厚生省によれば,東京都内の大学病院において1月1日午前1時10分頃に放射線治療機器(子宮癌等治療用)の起動テストを行ったところ,放射線量の表示が0となる誤作動が生じた.
 原因は起動プログラムの破損であり,2000年問題とは無関係という.
 なおいずれの医療機関においても,2000年問題危機日前後においては放射線治療機器を使用しないことになっており,患者への被害はない.
 また当該機器については事前の修正作業は完了しており,使用に際しては「注意」(=使用については製造業者等において確認を要するもの)とされていた.


骨密度測定装置の日付表示が1980年に

 厚生省によれば,徳島大学医学部附属病院において1月1日午前2時45分頃に骨密度測定装置の起動テストを行ったところ,1980年1月4日と表示される障害が生じた.
 原因は,越年後の初稼働時に日付の再設定が必要だったのにこれを行わなかったためであった.当該病院では当該機器の事前修正作業を完了していたが,起動時の操作方法について充分な徹底が図られていなかったもの.
 なお越年後の起動時に2000年1月1日と入力すれば正常となり,患者への被害発生の恐れはない.
 ただし厚生省は,同型の装置は約250台販売されており,また骨密度測定値には影響が出る可能性がある,という2点から,都道府県や販売業者に対して操作方法の周知徹底を指示した.



有線放送テレビで情報送信不能に

 郵政省の有村正意通信政策局長は1日午前6時に記者会見し,鳥取県の有線放送(CATV)会社「東伯地区有線放送」で同日午前0時ごろ農業気象観測情報の送信が不能になるトラブルが発生したことを明らかにした.
 放送業界でコンピューター2000年(Y2K)問題に絡む異常が発生したのは,同省によれば,この1件だけ.
 郵政省によれば,Y2K問題未対応の市販パソコンを使用して気象情報のデータを送信していたことが原因とみられ,同2時10分ごろ,年号を修正してパソコンを再起動し,データ送信が再開できたという.



ハッキング 〜Y2Kの混乱を突いてWWWを書き換え〜

 米アイ・ビー・エム(IBM)やAT&T,米ネットスケープコミュニケーションズ など米のハイテク企業が出資するインターネットに関する提言を行う米のNGO(非政府組織)「エレクトリック・フロンティア・ファンデーション」(EFF)のサイトが31日(米国時間)不正アクセスされ,トップページを書き換えられる被害を受けた.
 FBI(米連邦捜査局)がサイバーテロに対する注意を呼びかけるなど全米中で警戒が高まる中で,コンピューターの誤作動が懸念される2000年問題に乗じた混乱を狙った愉快犯的な犯行と見られる.
 不正アクセス者は今回のページの書き換えをわざわざ「2000年問題とは別だ」とトップページに書き込むなど,ハイテク企業がスポンサーとなって運営され,米インターネット業界で影響力のあるEFFのサイトをハッキングすることで,自身の高度なハッキング技術を誇示する狙いがあったとみられる.



★政府公表 〜大きな被害ないが今後も警戒必要〜
      〜一部障害を2000年問題と確認〜


 コンピューターが誤作動する恐れがある「2000年問題」で政府は1日,懸念された事故や災害など大きな被害は発生していないと発表した.
 ただ,通信や消防本部の一部システムに問題が生じるなど,未明からトラブルが相次いでおり,今後も引き続き警戒が必要となっている.
 同日午前6時に記者会見した額賀福志郎官房副長官は「エネルギー,交通,医療機関などの分野で大きな問題がないことを確認した」と述べた.
 しかし郵政省は同日,鳥取県のケーブルテレビ会社で起きたデータ送信の一時不能と,通信回線を提供している大阪の会社のトラブルの2件を,2000年問題に起因するものとして初めて認定.
 一部市町村の消防本部でも気象観測装置の日付が誤って表示されるなどのトラブルが発生した.



作成: 琉大病院2000年問題対策部会長&スタッフ
Upload: 2000.01.01