平成29年度 琉球大学医学部附属 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 782 528 452 974 1350 1650 2995 2188 1153 105
平成29年度に当院を退院された患者さんを10歳刻みの年齢階級別に集計したものです。

【解説】
 当院は沖縄県で唯一の特定機能病院であり、高度な医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しております。
 60歳代の患者数が最も多く、60歳代以上が全体の50%を占めています。平均年齢は54.3歳で、中央値は60歳です。
 年代別に疾患をみると、10歳未満は地域の周産期医療を担っていることもあり、低出生体重児や先天性疾患の症例を多く診ています。10歳代は中耳炎を最も多く診ており、腎炎、脳腫瘍、筋肉や骨にできた良性の腫瘍、白血病の順に多く診ています。20歳代は網膜剥離、精巣がんの順に多く、平成28年度と比べて患者傾向が変化しています。また、腎炎、中耳炎、脳腫瘍と続くことから、10歳代から当院に通院している患者さんが継続して通院されていることが推察されます。30歳代は出産に伴う産科系疾患を最も多く診ています。40歳代から50歳代は婦人科系疾患が最も多く、特に婦人科系がんを多く診ており、眼系疾患、脳腫瘍、肺がんと続きます。60歳代は緑内障等の眼系疾患が最も多く、続いて消化器系疾患が多い傾向となっており、特に食道がんの患者さんを多く診ています。70歳代以上は眼系疾患が最も多く、循環器系疾患、皮膚がんと続きます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
第一内科(呼吸器内科、消化器内科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 88 7.13 11.99 0.00% 62.75
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 55 9.16 10.61 0.00% 68.36
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし 32 9.91 11.44 3.13% 67.25
060300xx97100x 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む。) その他の手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 31 11.35 13.61 3.23% 59.23
040040xx9908xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等28あり 30 9.53 11.75 0.00% 72.27
 当科で最も症例が多いのは、肺悪性腫瘍の化学療法の患者さんです。化学療法の副作用で入院期間が長期となる方もいて平均在院日数は7.7日となっております。順調に治療を継続できている患者さんでは数日の入院となっております。加えて近年の化学療法の進歩に併せて肺がんの化学療法の種類も多様化してきており、患者さんの状況に合わせた化学療法を行う事が増えてきています。
 また、消化器分野では胆管炎を含む胆道疾患があげられます。総胆管結石や膵頭部腫瘍、外科手術後による胆管炎や閉塞性黄疸に対し、入院加療で内視鏡的胆道ドレナージや抗生剤投与を行います。加えて手術適応のない膵臓腫瘍などに関する化学療法も積極的に行われており、外科的治療以外の内視鏡的精査治療や化学療法も行われております。
第二内科(内科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 89 8.10 16.48 0.00% 64.76
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 78 8.23 5.76 0.00% 52.92
100070xx99x000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし85歳未満 19 16.11 11.16 0.00% 52.11
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等22あり 19 44.53 40.97 0.00% 40.74
100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等21あり 副傷病なし85歳未満 16 17.56 14.27 0.00% 60.94
 非ホジキンリンパ腫で最も多いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、リツキシマブ併用化学療法を、九州・沖縄に多い成人T細胞白血病/リンパ腫では、多剤併用化学療法を行っています。ホジキンリンパ腫では、標準的化学療法(ABVD療法)や抗体療法(ブレンツキシマブ ベドチン)による治療を行っています。急性白血病では、最新の知見にそった化学療法を実施し、適応のある方には同種造血幹細胞移植を行っています。
 副腎の病気には、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などがあります。これらの病気が疑われる患者さんに、入院にてホルモン検査を行い、診断を確定させ、治療方針を決定していきます。人間ドックなどで、たまたま副腎に腫瘍がみつかった場合も、同様に入院で調べ、副腎ホルモンが多く出ているのか(機能性)、出ていないのか(非機能性)を判断して治療方針を決めます。
 2型糖尿病は、生活習慣病のひとつであり、覚えなければいけないこと(食事、運動、病気のこと、薬のこと)がたくさんあります。教育入院を通じて、医師、看護師、栄養士、薬剤師、健康運動士が指導を行います。外来通院を行っていても、血糖コントロールが不十分だったり、糖尿病の合併症が悪化したりする時は、治療のために入院します。また、手術する際に、手術前に血糖値を調整するための入院もあります。
第三内科(循環器内科、神経内科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 106 6.48 4.62 0.00% 68.58
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 102 3.28 3.03 0.98% 67.68
050050xx99200x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等12あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 54 3.59 3.19 0.00% 70.33
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 48 6.06 7.35 0.00% 45.42
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 36 15.97 12.23 0.00% 46.44
 当科の年間入院患者数は1,016名、平均年齢は64歳(15〜97歳)、平均入院期間は16日です。入院患者の割合は、循環器内科 60%、腎臓高血圧内科 20%、脳神経内科 20%です。狭心症などに対する心臓カテーテル検査や心臓カテーテル治療、腎生検やIgA腎症に対するステロイドパルス療法、脳血管障害による入院が多くなっています。
第一外科(消化器外科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等24 あり 副傷病なし 173 4.52 9.69 0.58% 62.74
060010xx99x41x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等24 あり副傷病あり 39 7.46 16.94 5.13% 61.85
060010xx99x0xx 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等2なし 35 6.49 11.71 2.86% 63.94
060020xx99x40x 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 20 3.05 6.94 0.00% 60.75
060035xx99x50x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり 副傷病なし 18 4.33 4.38 0.00% 58.17
 一般的に進行したがんや、がんが再発した場合、標準的な治療で治療効果が不十分であることが多い事がわかっています。当院では切除できないほど進行したがんや、がんが再発した場合など、治療が難しいがんの治療を行うことが多い状況です。
 このような状況の中で、当院では特に食道がん・胃がんについては、進行したがんの手術前や切除できないほど進行したがん、再発したがんに対する治療として強力な化学療法を行っています。その治療効果により手術可能となるがんも認め、これまでに良好な治療効果が得られています。また、直腸がんについても直腸近くの臓器にがんが広がっている場合やがんが再発した場合にも積極的に化学療法を行い、可能な限り根治手術を目指す治療を行っています。
第二外科(心臓血管外科、呼吸器外科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 42 14.14 12.35 0.00% 61.60
050163xx99000x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 39 7.54 8.40 2.56% 78.49
050163xx03x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等21あり 副傷病なし 38 17.95 16.80 13.16% 80.24
050080xx0111xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等11あり 手術・処置等21あり 30 43.80 38.02 10.00% 70.20
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 副傷病なし 26 38.65 23.93 3.85% 63.85
 呼吸器外科においては、主に肺がんや他のがんから転移してきた肺腫瘍を対象として外科治療を行っています。当院の特性上、拡大手術を手掛けることも多いのですが約8割は低侵襲な胸腔鏡補助下に手術を行っています。
 胸部心臓血管外科領域において、患者さんへの身体的・精神的負担を軽減する目的として、低侵襲手術(体にやさしい手術)が進んでいます。大動脈瘤に対しては、ステントグラフト内挿術(カテーテル治療)の導入により、これまで治療が困難であった患者さんに対しても安全に手術可能で、社会復帰も早くなっています。従来の手術法である人工血管置換術に加えて、現在では確立された手術法として有効なオプションとなっています。当科でも同治療法を積極的に取り入れ、離島を含む沖縄県全域からの患者さんを受け入れ、対象患者数でも上位を占めています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010010xx9905xx 脳腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等25あり 98 7.19 15.47 4.08 41.36
010010xx01x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 27 27.56 21.61 3.70 56.22
010040x099x00x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - - 19.10 - -
140080xx97x0xx 脳、脊髄の先天異常 手術あり 手術・処置等2なし - - 14.58 - -
010010xx01x5xx 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等25あり - - 40.55 - -
 脳神経外科では、悪性(初期治療で手術、放射線療法、化学療法を要す疾患)及び良性(原則手術摘出で初期治療は完了)の脳腫瘍疾患を中心に治療を行っています。初期治療後は化学療法で入院する症例(98名)及び、頭蓋内腫瘍(27名)を治療しています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 55 20.58 23.14 2.00% 58.15
140490xx970xxx 手足先天性疾患 手術あり 手術・処置等1なし 41 11.44 7.55 0.00% 7.12
070010xx010x0x 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1なし 副傷病なし 30 5.57 5.80 0.00% 33.97
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 22 29.41 27.09 90.91% 80.50
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 後方又は後側方固定等 手術・処置等1なし 21 26.05 22.08 47.62% 67.29
 整形外科では平成29年度全447件の手術がありました。
 傷病名で見ますと股関節骨頭壊死、股関節症に対する人工股関節置換術が最多でした。厚生労働省による特発性大腿骨頭壊死症調査に参加し、比較的若い患者さんには当科独自の3次元画像解析を用いた骨切術を行うなど、病態や年齢に合わせた手術を行い県内の関連病院から紹介される患者さんは昨年度34例から55例に増えています。
 2番目は手足先天性疾患になります。治療は装具を用いた治療から手術までと幅広く、その適応は治療開始年齢や日常生活への障害の程度によって決まります。その判断には高い専門性を必要とします。そのため、県外から紹介されてくる症例もあります。
 3番目は骨軟部腫瘍においては県内で唯一専門的に治療を行っている施設で、県内全域より紹介されてきます。
 4番目は股関節大腿近位骨折に対する人工骨頭挿入術の22件となります。高齢者に多く、増加の一途を辿っている大腿骨近位部骨折に行い、術後のより良い機能回復を目指して関連病院と連携し充実したリハビリテーションを実践しています。
 5番目は脊椎管狭窄症になります。やはり高齢者に多い疾患であり、程度に応じて脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術を行います。
 運動器に関する多岐にわたる症例を県内外から紹介され高度な医療を提供することが当院の特徴です。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070570xx010xxx 瘢痕拘縮 瘢痕拘縮形成手術 手術・処置等1なし 11 5.00 5.93 0.00% 47.27
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 11 6.91 5.60 0.00% 26.64
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 手術あり - - 9.71 - -
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし - - 3.29 - -
070570xx012xxx 瘢痕拘縮 瘢痕拘縮形成手術 手術・処置等12あり - - 10.87 - -
 琉球大学形成外科では、身体の特定部位や臓器に関わらず、幅広い領域で手術を行っています。外傷・先天性奇形・美容などその分野は多岐にわたります。特に力を入れているのは眼瞼下垂、乳房再建、リンパ浮腫、顔面神経麻痺、顔面骨骨折などです。患者さんの外観の細かい部分にまでこだわり、整容面を整えつつ、機能の回復を目指し、最終的には患者さんの心までサポートすることを目指しています。その他にも頭頸部領域の悪性腫瘍術後の再建、胸部や腹部の欠損の再建術を数多く行っております。
産科婦人科(産科、婦人科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 156 2.74 4.98 0.00% 55.36
12002xxx99x30x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等23あり 副傷病なし 98 10.08 20.10 0.00% 50.31
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 81 11.06 12.94 1.23% 56.20
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり 副傷病なし 70 2.90 4.75 0.00% 55.54
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 57 10.42 9.75 0.00% 36.07
 1番目は子宮頸・体部の悪性腫瘍のうち、術後化学療法を受ける患者さんです。再発リスクが高いと判断される場合、再発予防のために術後化学療法を行っています。化学療法は1日または2日間で行われ、治療間隔は3週間または4週間ごととなり、治療中は数日間の入院を繰り返します。
 2番目は子宮頸・体部の悪性腫瘍のうち、化学療法と放射線療法の併用治療を受ける患者さんです。多くは進行子宮頸がんの患者さんで、治療スケジュールは放射線療法を1.5から2ヶ月間行い、その期間に化学療法を週1回で行います。
 3番目は子宮頸・体部の悪性腫瘍のうち、開腹による手術療法を受ける患者さんです。早期の子宮頸部の悪性腫瘍の患者さん、および子宮体部悪性腫瘍の患者さんは初回治療として手術を行います。
 4番目は卵巣・子宮付属器の悪性腫瘍のうち、化学療法を受ける患者さんです。術後補助療法として行う場合と、初回手術が困難な方の術前化学療法として行う場合があります。化学療法は1日または2日間で行われ、治療間隔は3週間または4週間ごととなり、治療中は数日間の入院を繰り返します。
 5番目は妊娠中に胎児の状態に問題があった場合や胎盤に異常が見られた患者さんです。
 1番目から4番目まで婦人科悪性腫瘍の患者さんを対象としています。当院は沖縄県内のほとんどの婦人科悪性腫瘍患者さんの診療を行っております。平成29年に治療を行った症例数は、子宮頸がん(浸潤がん)80例、子宮体がん68例、境界悪性・悪性卵巣腫瘍34例、外陰がん3例、卵管がん1例、絨毛がん1例でした。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 111 7.13 6.18 0.90% 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2なし 27 9.15 11.49 3.70% 0.00
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 副傷病なし 25 7.16 5.94 8.00% 2.20
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等22あり 25 22.72 27.18 4.00% 0.00
140010x199x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等21あり 21 11.38 11.50 19.05% 0.00
 小児科および周産母子センター全体では、低出生体重児の症例が最も多く、てんかん患者の症例と続きます。周産母子センターでは、妊娠中の母体管理および出生体重1,000g未満の超低出生体重児の管理とその合併症に対する治療を行い、母子ともに元気に退院できるように地域の周産期医療を担っております。てんかんの患者さんは、染色体異常や先天代謝異常などの基礎疾患を伴った場合も多く、けいれん重積の治療や難治性てんかんの治療コントロールなどをおこなっています。他の症例については、小児腎臓病や小児膠原病の重症例に対する治療や生物学的製剤の治療導入や希少難病の患者さんの診断や治療なども行っています。さらに、多岐にわたる基礎疾患のある患者さんの感染症に対する治療や在宅酸素療法や在宅レスピレーター治療(人工呼吸器による治療)をおこなっている患者さんの感染症などによる入院も多く、多職種にわたる医療スタッフとともに患者さんの治療に取り組んでいます。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 83 7.94 8.50 1.20% 75.92
080190xxxxxxxx 脱毛症 39 3.00 3.60 0.00% 35.87
03001xxx99x4xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 30 2.00 13.33 0.00% 68.03
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 16 16.56 11.73 6.25% 59.56
080006xx97x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) その他の手術あり 手術・処置等2なし 15 21.93 10.68 6.67% 65.80
 沖縄県は他府県と比較して紫外線暴露量が多いこと、高齢者が多いことにより顔面・頸部・前腕などの露出部に基底細胞がん、日光角化症、有棘細胞がんなどの悪性腫瘍の発生率が高いです。また、頭部血管肉腫やカポジ肉腫といった他府県では非常にまれな悪性腫瘍も沖縄県では多いという特徴があります。これらの皮膚悪性腫瘍の治療は琉球大学病院皮膚科の使命であると考え、外科切除術、化学療法、放射線療法、さらに最近の免疫化学療法を含めた集学的な治療を行っています。
 沖縄県内の他の病院・診療所の皮膚科では診断・治療が困難な症例を琉球大学病院皮膚科では診断・治療を行っています。
腎泌尿器外科(泌尿器科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 副傷病なし 66 6.24 11.31 1.52% 65.67
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 51 6.76 7.31 1.96% 68.18
11001xxx01x0xx 腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 47 10.38 12.30 0.00% 61.85
110060xx99x20x 腎盂・尿管の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 副傷病なし 39 5.87 11.29 2.56% 69.05
110080xx01x0xx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 34 12.50 12.92 0.00% 69.59
 進行した尿路上皮がん(膀胱がん、上部尿路がん)は、化学療法やがん免疫療法が行われます。また、転移性腎がんに対しては分子標的療法やがん免疫療法が行われます。転移を有する進行した前立腺がんに対してはホルモン療法が中心になりますが、その後は抗がん剤を用いた化学療法が適応され、骨を中心とした全身管理を行います。
 化学療法による有害事象対策として、歯科口腔外科による十分な口腔ケアがまず第一に重要です。また、がん免疫療法による免疫関連有害事象(頻度は低いが全身のどの臓器にも起こりうる:肺臓炎、大腸炎、肝炎、副腎障害、1型糖尿病、重症筋無力症など)に対しては、全診療科の十分な経験のある医師による科横断的な対応が必要です。この点において、琉球大学病院は、歯科口腔外科を含めたすべての診療に対応できるため、有害事象に対してより安全な対応が可能です。
耳鼻咽喉科(耳鼻いんこう科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 147 8.80 8.90 0.00% 39.81
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 52 5.71 7.23 0.00% 51.52
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 48 7.35 7.58 0.00% 51.25
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 41 8.73 8.01 0.00% 43.63
030428xxxxxxxx 突発性難聴 39 7.00 9.18 0.00% 52.28
 県内の中核病院として、すべての地域から難治性の耳鼻咽喉科・頭頸部外科全般の患者さんを受け入れています。特に、耳手術、頭頸部外科手術、鼻副鼻腔手術が多くなっています。指標の中で慢性中耳炎や中耳真珠腫の手術治療が最も多くなっていますが、手術の難易度が高く、当院に集約されているためです。患者さんの平均年齢は39.8才ですが、小児期の患者さんと中・高年の患者さんが主となっています。慢性副鼻腔炎では喘息を合併した重症副鼻腔炎手術が多く、舌がんを含めた頭頸部手術も同様に多くなっています。扁桃・アデノイド手術は、IgA腎症を中心とした扁桃病巣疾患の患者さんを対象とし、腎臓内科と共同し治療を実施しています。突発性難聴は、重症例のみ高圧酸素治療とステロイド治療、血管拡張療法を組み合わせて入院治療を行っています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり片眼 262 5.72 8.51 0.00% 64.83
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり片眼 153 6.80 10.21 0.00% 55.19
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり片眼 146 4.12 6.63 2.05% 66.72
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2なし片眼 83 5.60 7.96 2.41% 57.92
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 83 4.87 7.31 0.00% 67.33
 沖縄県唯一の大学病院として重症な眼疾患も対応しています。古泉英貴教授は黄斑疾患の診療と研究に長年取り組んできた世界的スペシャリストで、多くの紹介患者を受け入れています。また、酒井准教授を中心に緑内障グループでは診断 、治療、手術を高いレベルで行っています。当科は手術件数も多いのが特徴です。緑内障は眼圧をコントロールして視野障害の進行を防ぐための緑内障手術を行っています。網膜剥離は早期に手術を行わないと失明につながりやすいため、緊急体制も含めて対応しています。硝子体疾患・黄斑後極疾患には、糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前膜、硝子体出血等があります。最新の硝子体装置、手術顕微鏡を備えて万全の体制を整えています。
放射線科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x2xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 50 3.66 18.64 0.00% 57.02
100020xx99x2xx 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 19 4.63 6.51 0.00% 63.95
110080xx9902xx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 11 36.73 26.31 0.00% 74.91
070040xx97x0xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) その他の手術あり 手術・処置等2なし 10 3.10 19.11 0.00% 51.60
140620xx97xxxx その他の先天異常 手術あり 10 3.20 11.12 0.00% 44.40
 子宮頚がんに対する腔内照射は、標準的な放射線治療法としてガイドラインに記載されています。しかし、県内において治療可能な施設は当院に限られており、県内で子宮頚がんの放射線治療を行った方は、ほぼ全員が当院で治療を受けています。甲状腺がんに対する治療法のひとつとして、ヨード内服治療法があります。内服後の数日間は特殊病室に入院していただく必要がある、特殊な治療法です。当施設はヨード内服治療にも対応している、県内唯一の施設です。肺の放射線治療 、特に定位照射(いわゆるピンポイント照射)は、高精度放射線治療機器を有する施設で行うことが出来ます。当院は県内の基幹病院として、また入院対応可能な病院として、全県域から患者さんを受け入れております。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 副傷病なし 12 9.83 12.34 0.00% 70.17
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 副傷病なし 10 2.80 3.58 0.00% 50.10
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - - 7.34 - -
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし - - 5.15 - -
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - - 6.32 - -
 琉球大学病院では臓器別の診療科が治療することが多いですが、腎臓・尿路系の感染は特定の専門科がないこと、また敗血症ショックという命にかかわる重篤な病態を起こさないことに救急科として取り組んでいます。薬物中毒は、身体的治療の後から円滑に精神科と連携した診療ができます。頭部外傷で手術を要さないもの、前庭機能障害の内科的治療など、専門診療科で対応できない疾患、すなわち櫛の抜けたところをしっかりとカバーしております。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 19 - 24 64 6 11 1 7
大腸癌 - 13 29 59 17 71 1 7
乳癌 - 15 - 16 - 18 1 7
肺癌 - 11 11 110 28 65 1 7
肝癌 - - - 26 10 17 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 当院は、県内唯一の都道府県がん診療連携拠点病院として、がんに対する高度な医療を提供しています。がん薬物療法専門医や放射線治療専門医を始め、多くのがん種に対する専門医がそろっています。各種がんに対して標準治療を行うとともに、大学病院として臨床試験も行っています。また、手術、放射線療法および薬物療法に携わる専門的な知識および技能を有する医師、画像診断、病理診断等を担当する医師やがん医療に携わる専門職等が職種を越えて集まり、適切な治療を提供することを目的として院内で検討会(キャンサーボード等)を定期開催し、それぞれの患者さんに最善の治療を目指しています。
 5大がんの治療については以下のとおりです。
 胃がん、大腸がん : 腹腔鏡を使った低侵襲手術等の外科的治療や進行がんに対する化学療法を積極的に導入しています。
 乳がん : 手術や放射線療法といった局所治療と、ホルモン療法、化学療法、分子標的薬剤などの組み合わせで、その人の状況に合った治療を行っています。
 肺がん: 進行がんが最も多く化学療法を中心に治療を行っています。また外科的治療として胸腔鏡を使った低侵襲的な手術も行っています。
 肝がん : 外科的手術に加え、低侵襲による血管内治療(選択的動脈化学塞栓術)等も行っています。
※病期分類が不明とされている症例は、治療前の検査入院が多くあげられます。また、入院中の情報だけでは病期分類が判断できないものも多くあります。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 30 12.57 50.73
中等症 54 12.76 72.48
重症 11 14.91 72.00
超重症 - - -
不明 - - -
 成人の市中肺炎の患者さんについて重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。重症度については成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類システム(A-DROP)を用いて分類しています。
【定義】
・病院外で日常生活をしている人に発症する肺炎です。入院後に発症したものや、他院や施設からの転院は除いています。
・インフルエンザ等、ウイルス性肺炎、誤嚥性肺炎も除いています。
・成人の肺炎の指標ですので、小児肺炎は除いています。
【解説】
 軽症~中等症の患者さんが最も多くなっています。中等症、重症の患者さんは平均年齢も上がり、在院日数も長くなりますがネーザルハイフロー(鼻カニューラを使用して高流量の酸素投与を行う酸素療法)やIPV(治療用人工呼吸器)などの機器を積極的に使用し治療にあたっております。当院は大学病院ということで重篤な基礎疾患を持つ患者さんも少なくないですが、軽症、中等症、重症とも在院日数は全国平均と比べて短くなっています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 32 40.41 67.66 24.39
その他 - - - -
 当院では、脳血管障害の中でも血管が破れておこる脳出血、血管が詰まって障害が起きる脳梗塞の両方を診療していますが、脳梗塞の占める割合が多く、年間50例程度の入院があります。当院は、発症から3日以内の脳梗塞急性期症例を多く受け入れており、脳卒中専門医による適切な急性期の治療を行っています。神経内科と脳神経外科で連携をとりながら 、超急性期の経静脈的血栓溶解療法にも積極的に取り組んでいます。急性期の治療に加え、脳梗塞発症の原因を超音波検査やMRI検査などで調べ、再発予防のための方針を立てています。また、ひとたび脳梗塞を起こすと、麻痺などなんらかの後遺症を残す例が70%におよぶため、発症早期からリハビリテーション科と連携を取り積極的にリハビリテーション介入を行っています。急性期脳梗塞治療を行ったあともリハビリテーション継続が必要となる場合は、速やかに回復期リハビリテーション病院へ転院できるよう、地域連携室と協力しながら進めています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
第一内科(呼吸器内科、消化器内科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 32 5.72 7.34 3.13% 62.03
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 30 3.33 6.20 0.00% 66.33
K654 内視鏡的消化管止血術 26 6.77 9.42 3.85% 65.77
K533-2 内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術 23 3.87 6.91 4.35% 59.96
K686 内視鏡的胆道拡張術 19 2.00 9.84 0.00% 68.42
 消化器内科では、肝硬変患者に合併する食道胃静脈瘤に対して破裂予防目的の静脈瘤結紮術と内視鏡的消化管出血止血術が多く行われております。以前までの肝硬変診療では静脈瘤出血で命をなくす患者さんがおられましたが、近年はこの治療法により出血を予防して予後を改善するようにしています。また、消化管出血止血術も同様な症例数で、すでに消化管出血している患者さんに対して内視鏡止血を行うことで予後を改善するべく治療を行っております。
 胆道疾患や膵臓疾患に対して行われる内視鏡的胆道ステント留置術の症例数も多く、特に悪性疾患の患者さんが食事をとることができたり、自宅で長く過ごされていただくことにも貢献できていると思われます。
第二内科(内科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植の場合) - - - - -
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
 血液内科では、標準的化学療法で根治が困難な場合に、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫に対して自家末梢血幹細胞移植を実施しています。また、悪性リンパ腫の確定診断のために、リンパ節生検を行ったり、抗がん剤の血管外漏出を防ぐために、植込型カテーテル留置を実施しています。
第三内科(循環器内科、神経内科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 91 4.98 5.07 1.10% 68.67
K555-22 経カテーテル大動脈弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 25 15.84 18.40 28.00% 86.04
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 23 3.65 1.52 0.00% 69.57
K5481 経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル) 21 5.38 4.86 4.76% 72.00
K570-3 経皮的肺動脈形成術 20 4.00 4.40 0.00% 48.90
 当科では、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈形成術と経皮的冠動脈ステント留置術といった心臓カテーテル治療の症例が多く、年間200件以上の治療を行っております。心臓カテーテル治療は、腕や足の血管から心臓までカテーテルという管を通して、バルーンやステント、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルなどを用いて病変の治療を行います。患者さんの状況に合わせて、検査と治療を同時に行う場合と、検査から日数をあけて治療を行う場合があり、入院期間は3日から7日程度と幅があります。
 当院では県内で唯一大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)も施行しています。TAVIは、全身麻酔下に足の付け根もしくは心臓の先端部よりカテーテルを挿入し、カテーテルを通して人工弁を留置する治療法です。胸を大きく切開せず、心臓を止めずに治療ができるため、外科的な弁置換術と比べて、患者さんの体への負担が少なく、入院も1週間から2週間程度で済みます。当院では2015年8月に県内で初めてTAVIを施行し、2018年3月までに80名以上の患者さんを治療しています。
 慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する経皮的肺動脈形成術を県内で唯一行なっています。経皮的肺動脈形成術は、首や足の血管からカテーテルを挿入し、肺動脈内の血栓による狭窄や閉塞をバルーンを用いて治療する手術です。入院期間は7日間程度です。
第一外科(消化器外科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 29 6.69 5.28 3.45% 65.21
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 26 6.69 3.77 0.00% 60.73
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 17 2.47 10.29 5.88% 69.71
K6335 鼠径ヘルニア手術 - - - - -
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) - - - - -
 当院では、手術のなかでもより体に負担の少ない治療として、腹腔鏡を用いた胆のう摘出手術や、鼠径ヘルニアの手術を行っています。また、大腸がんや直腸がんの手術としても、積極的に腹腔鏡を用いた手術を行い、安全で回復の早い治療を提供しています。
 他に、抗がん剤や高カロリー等の特別な点滴のため、植込型カテーテルの手術も行っています。
第二外科(心臓血管外科、呼吸器外科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5611 ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 30 6.77 28.97 30.00% 76.30
K5612 ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 29 4.66 21.45 13.79% 78.62
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 27 3.30 9.30 0.00% 61.78
K5551 弁置換術(1弁) 26 12.58 36.69 19.23% 73.04
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 22 1.32 2.14 4.55% 64.09
 バスキュラーアクセス(血液透析のための血液の取り出し口)に関しては、シャント作製外来、シャントトラブル外来があり、シャント狭窄に対して低侵襲な経皮的シャント拡張術(shunt PTA)を行っております。患者さんの全身状態により、日帰りまたは1泊入院での治療が可能です。
 胸部心臓血管外科領域において、患者さんへの身体的・精神的負担を軽減する目的として、低侵襲手術(体にやさしい手術)が進んでいます。中でも瘤が破裂すると救命困難な胸部大動脈瘤手術は、従来の開胸手術では耐術困難な高齢者が多く、術後ADLの低下が大きな問題となっていました。それに対してステントグラフト内挿術(カテーテル治療)は、これまで治療が困難であった患者さんに対しても安全に手術可能で、社会復帰も早くなっています。当科でも同治療法を積極的に取り入れ、離島を含む沖縄県全域からの患者さんを受け入れ、主要手術件数でも上位を占めています。
 呼吸器外科においては、主に肺がんや他のがんから転移してきた肺腫瘍を対象として外科治療を行っています。多くは低侵襲な胸腔鏡補助下で手術を行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 55 10.00 41.00 9.09% 55.36
K1742 水頭症手術(シャント手術) 11 5.64 26.27 9.09% 43.45
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 - - - - -
K1491 減圧開頭術(キアリ奇形、脊髄空洞症) - - - - -
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) - - - - -
 頭蓋内腫瘍の摘出術は55症例、うち内視鏡下経鼻的処置を施した下垂体部腫瘍は4症例でした。腫瘍摘出術は術中MRIを常時併用しています。また、神経機能モニタリング(MEP、VEP、SEP、Ⅶn、蝸牛神経)や5-ALA蛍光診断、光線力学療法など、多種数のモダリティー(医用画像機器)を用いて手術の安全性や適格性に努めています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(肩,股,膝) 63 1.84 18.62 22.22% 59.43
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(肩,上腕,前腕,大腿,下腿,躯幹) 19 1.32 2.89 0.00% 50.95
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿) 19 2.47 22.63 57.85% 58.05
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) 18 4.56 33.72 55.56% 59.50
K0311 四肢・躯幹軟部悪性腫瘍手術(肩,上腕,前腕,大腿,下腿,躯幹) 14 3.86 21.07 0.00% 61.71
 運動器を扱う整形外科の対象手術には外傷(急性)、変性疾患(慢性)、骨軟部腫瘍、小児運動器などがあり、手術別患者数では四肢、脊椎の変性疾患に対する手術が上位を占めています。1番目の人工関節置換術(63例)は術後3以内での自宅退院を目指したプロトコールを作成して治療を行っています。2番目は骨軟部腫瘍の手術です。J痛前後の化学療法や切除後再建まで含めた県内で唯一専門的に治療を行っている施設で、県内全域より紹介され良性19例、悪性14例と増えてきています。
 3番目の骨折観血的手術や4番目の脊椎疾患に対する脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術などのは、術後のより良い機能回復を目指し、リハビリテーションを専門とした関連病院への転院率が高くなっています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0101 瘢痕拘縮形成手術(顔面) 11 1.27 4.09 0.00% 66.82
K628 リンパ管吻合術 - - - - -
K0102 瘢痕拘縮形成手術(その他) - - - - -
K0153 皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術(100cm2以上) - - - - -
K2193 眼瞼下垂症手術(その他) - - - - -
 肉眼では縫うことのできない細い血管、リンパ管、神経を顕微鏡を用いて吻合する手術をマイクロサージャリー(手術顕微鏡を用いた微小外科手術)と言います。琉球大学形成外科では耳鼻咽喉科、歯科口腔外科と協力し、マイクロサージャリーを用いた頭頸部再建手術を数多く行っており、その症例数は県内で最も多くなっています。近年ではリンパ浮腫手術、乳房再建手術にもマイクロサージャリーを応用した症例が増えています。マイクロサージャリーの他に、先天性眼瞼下垂手術、後天性眼瞼下垂手術、顔面神経麻痺治療、漏斗胸治療など、患者さんの整容面を整える手術も数多く行っております。
産科婦人科(産科、婦人科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K867 子宮頸部(腟部)切除術 64 0.95 1.00 0.00% 41.38
K861 子宮内膜掻爬術 63 0.13 0.94 1.59% 47.67
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 62 1.19 3.24 0.00% 41.05
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 62 9.63 6.87 0.00% 35.16
K879 子宮悪性腫瘍手術 60 1.70 10.62 1.67% 55.62
 1番目の手術は、前癌病変である子宮頸部異形成、および初期子宮頸がんの患者さんが対象になります。当科では、術中や術後の出血を少なくするためにレーザーメスを使用した手術を行っております。
 2番目の手術は、子宮内膜増殖症、異型子宮内膜増殖症、子宮体がんなどの患者さんが対象になります。診断目的やホルモン療法の治療効果判定のために行われます。
 3番目の手術は良性卵巣腫瘍の患者さんが対象になります。腹腔鏡手術は術創部が小さいため、術後の回復が早く早期退院が可能になります。
 4番目の手術は、分娩の経過中に母体や胎児に異常を認める場合、急いで分娩を行うための手術になります。当科で妊娠管理を行ってきた妊婦患者の分娩時に行われる場合のほか、他の産科施設で緊急帝王切開術が必要と判断され母体搬送となる症例も受けております。
 5番目の手術は、子宮頸・体部の悪性腫瘍に対する手術になります。早期子宮頸がん、および子宮体部悪性腫瘍の患者さんが対象となります。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈,静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) - - - - -
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) - - - - -
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) - - - - -
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植の場合) - - - - -
 小児科および周産母子センター全体では、低出生体重児の症例が最も多く、てんかん患者の症例と続きます。周産母子センターでは、妊娠中の母体管理および出生体重1,000g未満の超低出生体重児の管理とその合併症に対する治療を行い、母子ともに元気に退院できるように地域の周産期医療を担っております。てんかんの患者さんは、染色体異常や先天代謝異常などの基礎疾患を伴った場合も多く、けいれん重積の治療や難治性てんかんの治療コントロールなどをおこなっています。他の症例については、小児腎臓病や小児膠原病の重症例に対する治療や生物学的製剤の治療導入や希少難病の患者さんの診断や治療などもおこなっています。さらに、多岐にわたる基礎疾患のある患者さんの感染症に対する治療や在宅酸素療法や在宅レスピレーター治療(人工呼吸器による治療)をおこなっている患者さんの感染症などによる入院も多く、多職種の医療スタッフでともに取り組んでいます。また、小児血液・がんの専門的治療を県内でも少ない専門施設として行っています。貧血や血小板減少症などの良性疾患から白血病、リンパ腫、固形がん(神経芽腫、脳腫瘍、骨軟部腫瘍など)、先天性免疫不全症まで、多岐にわたる疾患を対象に治療をおこなっています。これらの疾患の治療として骨髄移植があり、健康なドナーの方からいただいた骨髄の造血細胞を病気の患者さんへ投与します。高度な専門的知識と技術、経験が必要であり、沖縄県では小児の移植が可能な施設は本院のみで施行可能です。現在、年間約10例の移植が行われており、患者さんの生命予後を改善しています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 100 1.21 7.55 3.00% 75.52
K753 毛巣嚢,毛巣瘻,毛巣洞手術 - - - - -
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) - - - - -
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径4cm以上) - - - - -
 沖縄県では皮膚悪性腫瘍の頻度が高いため、琉球大学病院皮膚科の手術は皮膚悪性腫瘍切除術が最も多くなっています。悪性腫瘍の手術は取り残しがないように肉眼的には正常に見える部分も余白をつけて切除します。そのため大きな皮膚欠損になりますが、近くの皮膚をずらすようにして埋め合わせたり、別の部分から皮膚を採取して欠損を埋め合わせたりすることで、できるだけ手術痕が目立たないようにすることにも力を入れています。
 また、沖縄県では化膿性汗腺炎、毛巣洞が他府県に比べ非常に多いです。これらの疾患は広範囲な皮膚の疼痛や排膿で悩まされ、その根治や症状緩和のために広範囲な病変の切除も行っています。
腎泌尿器外科(泌尿器科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 61 1.51 4.18 1.64% 68.70
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 47 2.87 7.06 0.00% 63.38
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 30 2.00 8.93 0.00% 69.00
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 24 1.46 6.79 8.33% 70.79
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) 22 10.86 7.32 0.00% 65.68
 膀胱がんは膀胱温存可能か否かの判断が非常に困難なことが多く、琉球大学病院ではそのような困難症例を他施設より紹介され受け入れています。筋層浸潤膀胱がんは膀胱全摘除術が適応となりますが、時間と人手もかかるため琉球大学病院が中心になって行っております。泌尿器腹腔鏡技術認定医は、琉球大学病院には現在6名と沖縄県内・外でも有数であり、腎・副腎の腹腔鏡下手術、骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨膣固定術や先天性水腎症に対する腹腔鏡下腎盂形成術にも対応しています。前立腺がんに対する手術は、ほとんどダヴィンチ手術(ロボット支援下腹腔鏡下前立腺摘除術)で行っています。ロボットを用いない腹腔鏡下前立腺摘除術も行いますが、本術式は沖縄県内では琉球大学病院が唯一の認定施設です。平成30年秋よりロボット支援下腎部分切除術も開始します。琉球大学病院は、ほぼすべての泌尿器科疾患と治療法に対応しています。
耳鼻咽喉科(耳鼻いんこう科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K319 鼓室形成手術 158 1.15 6.65 0.00% 40.21
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 46 1.15 6.41 0.00% 40.89
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 42 1.10 3.43 0.00% 49.93
K318 鼓膜形成手術 24 1.25 1.29 0.00% 22.08
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) 18 19.44 18.83 5.56% 59.39
 耳鼻咽喉科領域では、慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術、慢性扁桃炎・IgA腎症などの扁桃病巣疾患に対する口蓋扁桃摘出術、重症慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型が指標に挙げられています。副鼻腔炎手術例では喘息と合併する好酸性副鼻腔炎が増加しています。手術を行う際は、ナビゲーションシステムなどを用いて安全な手術を実施しています。いずれも術前日数や在院日数が少ないのが特徴です。頭頸部悪性腫瘍では、放射線科と共同して血管内抗がん剤治療と放射腺治療を組み合わせた臓器・機能温存治療にも取り組んでいます。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 890 1.20 1.03 0.45% 68.75
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 376 1.24 3.86 1.06% 63.71
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 146 1.05 2.51 2.74% 66.51
K2682 緑内障手術(流出路再建術) 144 1.35 1.47 0.69% 66.56
K2683 緑内障手術(濾過手術) 94 1.50 5.90 0.00% 60.39
 沖縄県唯一の大学病院として、重症な眼科疾患も手術対応しています。水晶体再建術とは、白内障手術のことで、開業医では対応困難な手術も多数対応しています。水晶体再建術(白内障手術)でも、緑内障合併、高齢者、全身麻酔、亜脱臼例などは開業医では困難な場合が多く、経験豊富な緑内障グループや、硝子体手術のバックアップ体制を整えて質の高い手術をおこなっています。硝子体茎顕微鏡下離断術はいわゆる硝子体手術と呼ばれているもので、網膜剥離、糖尿病網膜症、硝子体出血、黄斑円孔、黄斑前膜、眼内炎などに対する手術です。沖縄全域から幅広い疾患が紹介されてきますので経験も豊富です。緑内障手術(濾過手術)は、酒井准教授を中心とした緑内障グループで担当しており全国的にも活躍しています。
放射線科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) 57 1.61 1.93 5.26% 51.32
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
 放射線科における血管内治療(塞栓術)は大きく腫瘍を対象としたものと、非腫瘍性病変を対象としたものに分けられます。腫瘍を対象とした治療に関しては、根治治療から緩和治療まで幅広く行われるのが特徴で、非腫瘍性病変を対象としたものは血管奇形(血管腫や動脈瘤など)の治療を行います。近年、この低侵襲による血管内治療(塞栓術)を受ける患者さんが急激に増えています。
救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0463 骨折観血的手術(鎖骨,膝蓋骨,手(舟状骨を除く),足,指(手,足)その他) - - - - -
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 - - - - -
K654 内視鏡的消化管止血術 - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
- - - - - - -
 救急患者のうち、外因性の疾患では外傷による骨折の治療、手足の軟部損傷、内因性では消化管出血の初期治療などを行います。外因性および内因性の緊急を要する疾患・病態の初期治療に対応します。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 19 0.16
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 103 0.85
異なる - -
 播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、真菌感染症、手術・術後の合併症の患者さんについて、入院契機となった傷病と同一か異なるかに分けた患者数とそれぞれの発生率(請求率)を集計したものです。
この指標は、医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきもので、DPCデータの精度向上を図るために公表することとされている項目です。

➢ DPC6桁コード・・・DPCコードは傷病名、実施した手術、実施した処置、年齢、重症度、副傷病等の内容に応じて14桁のコードに分類されています。その中で左6桁は傷病名による分類を表しています。


➢ 入院契機・・・DPCコードは、入院期間中に医療資源を最も投入した傷病名(DPC傷病名)から決定しますが、それとは別に入院の契機となった傷病名がそれぞれの患者さんには付けられています。この指標では、DPC傷病名と入院契機傷病名が「同一」か「異なる」かに分けて集計しています。


➢ 発生率(請求率)・・・平成29年度の退院患者数に対し、各傷病名で診療報酬の請求を行った患者さんの割合です。



【解説】
◇播種性血管内凝固症候群
 播種性血管内凝固症候群とは、さまざまな重症の基礎疾患により、血栓が多発して臓器不全、出血傾向のみられる疾患です。基礎疾患には、急性前骨髄球性白血病・前立腺がん・肺がんなどの悪性腫瘍、前置胎盤早期剥離・羊水塞栓などの産科系疾患、敗血症、熱傷、外傷など、さまざまな疾患があります。これらの基礎疾患の悪化に伴い、大量の血液凝固促進物質が血管内に出現することが原因と考えられています。
 当院では、DPC傷病名と入院契機となった傷病名が同一である症例、異なる症例が、どちらも10例未満でした。

◇敗血症
 敗血症とは、感染症に起因した重篤な全身性炎症反応の症状を引き起こす疾患です。悪性腫瘍、血液疾患、糖尿病、肝・腎疾患、膠原病といった基礎疾患や未熟児、高齢者、手術後といった状態から起こる場合が多いとされています。
 当院では、DPC傷病名と入院契機となった傷病名が同一である症例が19例で発生率0.16%でした。

◇その他の真菌感染症
 真菌はいわゆるカビです。そのため、空気中、土中のあらゆる場所に存在します。しかし、健康な人は抵抗力があるため、普通は感染しません。不潔にしていたり、抵抗力が落ちていたり、何らかの病気で免疫力が低下することにより、真菌感染症を発症します。感染症にかかりやすいのは、小児、高齢者や、糖尿病、免疫不全症、免疫抑制を行っている患者さん、抗がん剤治療を行っている患者さんがこの中に入ります。
 真菌感染症で代表的なものは、アスペルギルス症、カンジダ症、クリプトコックス症です。
 当院では、DPC傷病名と入院契機となった傷病名で、その他の真菌感染症の症例はありませんでした。

◇手術・処置等の合併症
 DPC傷病名と入院契機となった傷病名が同一であるものが103例0.85%でした。
 最も多いのは腎不全の患者さんで、人工透析や腹膜灌流を行う際に必要なシャントやカテーテル等に、狭窄や閉塞、感染を発症し、その治療を目的として入院しています。次に人工関節のゆるみや脱臼のため、再置換手術を目的として入院している患者さんが続きます。また、手術後の創部感染や腹腔内の感染等の治療目的の患者さんもおり、これは基礎疾患の悪化により感染症を発症したことが原因のひとつと考えられています。
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