トッピックス2 ホルモンの病気とその治療

第二内科 講師 池間 朋己
 ホルモンの病気は、ホルモンを分泌する臓器(脳下垂体前葉・後葉、甲状腺、副甲状腺、副腎皮質・髄質、精巣、卵巣)に腫瘍ができたり、臓器を刺激したり、壊したりする物質が血液の中に現れることなどによって起こります。その結果、臓器からのホルモン分泌が多くなったり(機能亢進症)、少なくなったり(機能低下症)することで症状が現れます。
 ホルモンの病気の診療には複数の診療科が関わっています。比較的多いバセドウ病による甲状腺機能亢進症や慢性甲状腺炎(橋本病)による甲状腺機能低下症は、内分泌内科医や甲状腺専門医単独で投薬治療を行うのが一般的です。しかし薬の副作用などで投薬が継続できなくなった時や甲状腺の腫れが著しく大きいと、手術療法や放射線療法が必要になることがあります。手術療法は甲状腺外科医、放射線療法は放射線科医へ依頼し治療を行います。またバセドウ病の患者さんで重篤な眼球突出がみられる場合は眼科医が治療を行います。
 さらに不妊症患者で甲状腺のホルモンに異常が認められれば、産科医からの依頼を受けて内分泌内科医が診断・治療します。妊娠中はもちろん、出産後も治療を続けます。
 男性更年期障害に代表される男性ホルモンの低下は内分泌内科医または泌尿器科医が、女性の更年期障害は婦人科医が治療を行います。
 ホルモンを分泌する臓器に腫瘍ができると、内分泌内科医は臓器や腫瘍からのホルモン分泌が多すぎるのか、少なすぎるのか、正常なのかを判断します。ホルモン分泌に異常がある、腫瘍が大きいなどの理由で、手術が必要になれば、腫瘍の存在場所に応じて脳神経外科医、甲状腺外科医、泌尿器科医に手術を依頼します。
 ホルモンの病気にかかる患者数は、バセドウ病・慢性甲状腺炎(橋本病)、女性の更年期障害を除き、とても少ないため、豊富な経験・専門知識を有し、正確に診断し、治療できる医師も多くありません。琉球大学医学部附属病院は、ほぼすべてのホルモンの病気を診断・治療できる、専門医師と診療科がそろっている沖縄唯一の病院です。
ホルモンを分泌する臓器 関連する診療科
問い合わせは診療情報提供書を本院医療福祉支援センター(シエント)まで。
電話:098(895)1371  FAX:098(895)1498