琉球大学医学部附属病院診療情報管理センター長 平田哲生
巻頭の挨拶 安心、安全で質の高い医療の提供を目指して

 平成29年7月1日付けで琉球大学医学部附属病院 診療情報管理センター長に就任しました平田哲生(ひらたてつお)と申します。就任前は当院第1内科で消化器内科の診療を行うのと同時に、当院の病院情報システム(電子カルテシステム)と診療情報の管理も担当しておりました。
 「診療情報管理センターっていったい何をしているの?」とよく聞かれます。当センターは患者さんの診療録(カルテ)を管理するのが主な仕事です。当院では患者さん一人につき一つのカルテを作成しています。病気や診療科が複数でも、入院も外来通院も一人に一つのカルテです。これは患者さんを全人的に対応し、病気を診るのではなく人を診るという当院の考え方に基づいています。

 当院では診療録をコンピュータで管理する電子カルテを採用しています。当センターの最大の目的は、効率的かつ円滑に電子カルテを使用した医療が行えるようにすることです。その結果、患者さん一人一人の診療情報の正確な保存が行われ、現在および将来の医療に活かすことができると考えています。また、当センターでは毎日カルテの内容をチェックしています。診察、検査を行った記録の有無だけではなく、医療従事者が患者さんへ説明した文書とカルテへの記録があるか、その内容は適切であるかなどに関しても監視し、不備な点に関しては改善を促しています。これらのことにより患者さんの立場に立った、安心、安全な医療の提供に貢献しています。更に、診療録を厳密に管理することにより外部に情報が漏れることを防止し、個人情報保護にも万全を期しています。
 ところで、当院は沖縄県で唯一の特定機能病院です。特定機能病院とは、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えていると認められた病院です。そのため、当院では高度の医療の提供、教育、研究を行っています。当センターでは集約される診療情報を分析し、当院の診療、教育、研究の役に立つ情報を提供しています。医学とは、病気の予防・診断および治療を目的として、研究を行う学問です。このために医学は多くの情報を収集し意思決定を行うという過程を含んでおり、診療情報の分析は医学の発展に大変重要と考えられています。
 当センターは直接患者さんの診療に関わることはありませんが、上に述べましたようにカルテの管理などを通じて安心、安全で質の高い医療の提供に大きく関わっています。これからも患者さんのため、当院の医療、教育、研究の発展のため全力を尽くして参りたいと思います。どうぞよろしく御願い申し上げます。