新手術室が稼働を始めました

手術部長 鈴木 幹男

 皆さま、こんにちは! 耳鼻咽喉科長で手術部長を兼任している鈴木幹男です。手術部は外科系の先生が手術を行う場所ですが、最近は内科医、小児科医の先生方も血管内治療や骨髄移植に用いています。当院の手術件数は年々増加し、平成28年度は5,900件を超えました。振り返りますと琉大病院では、ロボット手術の開始、低侵襲心臓血管手術の増加、救急患者さんの受け入れ増加、形成外科開設などたくさんの話題がありました。手術室は10室ありますが、このような事情から当院で手術を希望されても手術待ちの時間が長くなる傾向がありました。そこで手術室の改装に着手し、この度1室を増室することができました。この手術室は従来の手術室よりひと回り小さいですが、外科系医師、麻酔科医、看護師、技士がアイディアを出し合い、事前シミュレーションを繰り返すことで使い易い部屋に仕上がりました。増室により年間約500件の手術を受け入れることができるようになり、手術待ち時間の短縮、緊急手術の受け入れ、効率的運用による労働条件の改善が期待されます。この新手術室は6月から稼働を開始しています。 患者さんにとって手術は一生に一度の大きな出来事であり、手術前後の肉体的負担と精神的負担は計り知れないものがあります。手術部ではこれからも手術の安全性を高めるとともに、患者さんの不安を減らし、安心して治療を受けていただけるよう取り組んで参ります。

新手術室が稼働を始めました

ロボットスーツHALの仕組み

脳神経外科長 石内 勝吾

 ロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)®は、人の意思に従う随意制御とロボットの自律制御を組み合わせたサイバニックシステムで、筑波大学の山海嘉之先生により開発されました。

Prof. Sankai, University of Tsukuba / CYBERDYNE Inc.

Prof. Sankai, University of
Tsukuba / CYBERDYNE Inc.

装着者の動作意思情報を反映した微弱な生体電位信号を末梢より検出して動作を実現できるため、脳からの情報を処理し外部機器へと出力するBMI(Brain Machine Interface)の一つにも位置づけられます。医療用HAL®は世界初の「ロボット治療機器」として注目されており、現在、日本国内では筋萎縮性側索硬化症などの8つの神経・筋難病疾患に保険適用されています。下肢の機能回復にすぐれますが、脳卒中については医師主導治験中であるため、脳外科では臨床研究として使用しています。仕組みは以下の通りです。①下肢の皮膚表面に貼り付けた電極から動作意思を反映した生体電位信号を取得します。②得られた情報を解析し、大腿部と膝部のパワーユニットに指令をだします。③生体電位信号に応じてパワーユニットが 働き装着者の意思に従った動きを実現します。④このような随意運動を繰り返すことで、脳神経系の繋がりが強化・調整され、機能改善・機能再生が促進されます。重い麻痺の患者さんであっても、意思を反映した微弱な生体電位信号が検出できれば随意運動を実現できます。装着した患者さんからすると、動かしたくとも自力では動かない足を動かそうすると、自然なタイミングでHAL®が足を動かしてくれるということになります。8階東病棟にありますので興味のある方は自由に見学してください。
お問い合わせは、脳神経外科の西村正彦助教(098-895-1171)までお願いします。
 最後に、本稿を御校閲いただきました山海嘉之先生に謝意を表します。