平成29年2月よりダヴィンチ前立腺手術(ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術)が始まりました!

 琉球大学医学部附属病院では平成29年2月にダヴィンチ手術(ロボット支援下前立腺全摘術)を開始しましたので、ダヴィンチ手術について説明いたします。

A.手術の安全性への貢献

 手術を実施するにあたって安全性の確保は最優先課題です。ダヴィンチはそれに対する貢献度が非常に大きいと思います。理由は以下の通りです。

1) 視野:10倍の3次元拡大視野のため解剖学的構造が詳細に分かり、細かい血管の1本1本までがよく見えます。よく見えることは、手術の安全性を確保する大切な要因となります。
2) 操作性:従来の開放手術では手術器具の入射部位・角度の制約があるため、深くて狭い骨盤底での手術では操作性に関する制約が大きいのに比べて、ダヴィンチでは狭い空間での操作性に優れ、制約が非常に少ないです。また、手ぶれを防止できる機能と合わせて、狭い骨盤の奥にある前立腺の摘出術において正確で繊細な手術を行うことができます。
3) 出血が少ない:従来の開放前立腺全摘術では、平均的な術者であれば、出血量が1000 - 2000mL前後でした。一般的にダヴィンチ手術は腹腔鏡下で行うため出血量が少ないと報告されていますが、今回経験したダヴィンチ手術の出血量も100mLと非常に少なかったです。
以上、ダヴィンチ手術は良好な視野、優れた操作性、少ない出血量を兼ね備えているため、手術の安全性に大きく寄与すると考えられます。

B.機能温存(QOL)における優位性

 温存:繊細な手術が行えるため、海綿体神経温存や尿道括約筋の機能温存に優れることが論文で報告されていますが、今回の手術でも尿道膀胱吻合を繊細に行うことができ、尿道カテーテル抜去直後の尿失禁が非常に少なかったことには大変感動しました。

C.低侵襲(患者さんの体への負担をできる限り軽減して行う治療のこと)

 手術翌日の患者さんの顔つきが大変穏やかでした。腹腔鏡手術一般に通じるものですが、ダヴィンチ手術も患者さんに大変優しい手術と感じられました。
 以上のことから、前立腺癌に対するダヴィンチ手術は安全で低侵襲でQOLに優れた治療法としてお勧めしたいと思います。当院では他にも放射線療法(密封小線源療法、IMRT《強度変調放射線治療》、外照射療法)、ホルモン療法と、重粒子線を除くすべての治療法に対応できます。
  前立腺癌の患者さんにおかれましては、ぜひ琉球大学医学部附属病院に相談に来てください。

問合せ先:腎泌尿器外科外来 月、火、金(担当:呉屋、斎藤)まで