女性の膀胱、子宮、直腸といった骨盤臓器が膣の中や外に出てきてしまう状態を「骨盤臓器脱」と 言い、膀胱の場合を「膀胱脱」と言います。重力に逆らって二足歩行を始めた人類の宿命ともいうべ き疾患で、働き者の女性に起こりやすい何とも皮肉な疾患です。潜在的にはかなりの患者さんがいる ことが推測されている反面、羞恥心から医療機関を受診する患者さんは氷山の一角です。
 これまで、骨盤臓器脱(膀胱脱)に対する手術は、経膣的にメッシュシートを骨盤底にハンモック状に敷くTVM(Tension-free Vaginal Mesh)手術が中心に行われてきました。当院でも2010年から80 例程度同手術を施行してきました。
 このような状況下で、骨盤臓器脱(膀胱脱)に対するより良い術式が求められてきましたが、最近注目 されているのが腹腔鏡下膀胱脱手術です。腹腔鏡下にメッシュを使用して仙骨と膣を固定する術式で、 経膣操作ではないため、TVM手術と比較して、膣びらん、メッシュ露出や痛みが少なく、メッシュ感がな いことが特徴で、性活動の高い中高年にはとてもよい適応です。カメラを使用して拡大視野で行うため、 狭い視野のTVMと比較して腸管損傷のリスクも少ないのも特徴です。本邦では、2014年に保険収載さ れ、当院でも、2016年3月から同手術を開始しこれまで5例に行いました。手術時間は3〜4時間です。
 女性特有な疾患ゆえ、科の垣根を超えた協力も必要不可欠です。当科には骨盤臓器脱(膀胱脱)を 担当する専門の医師が存在します。どうぞ、恥ずかしがらずに当院腎泌尿器外科外来(毎週 月・ 火・金)を受診して下さい。

 

皆様に信頼される薬剤部を目指して

 

 平成28年6月1日より琉球大学医学部附属病院内に沖縄県基幹型認知症疾患医療センターを開設いたしました。場所は、附属病院1階 精神科神経科外来に隣接しています。高齢化社会において、健康寿命の延長に伴い、今後ますます増えていくであろう認知症の方々の生活を多方面から支えていくために、沖縄県の要になる役割を担っていく部門となります。
 認知症の場合、疾病自体が治癒する性質のものではありませんので、他の身体疾患とは異なり、医療のみならず福祉・行政、そして、地域が密接に連携しながら、当事者および家族の方々をサポートしていくシステムが社会に求められています。その中で、沖縄県基幹型認知症疾患医療センターに課せられた役割は、1)認知症の専門医療に関する相談対応、2)高度の精査および鑑別診断を要する方々への診断的対応、3)認知症を有する方々の身体合併症および救急医療に対する治療的対応、4)難治の認知症の周辺精神症状の管理、5)県内の地域型・診療所型疾患医療センターとの情報共有および連携、などが挙げられます。
 御陰様で、開設当初より、当センターへの相談件数が少しずつ増え、精査を希望されて当科を初診される認知症の方々も増加しております。認知症になっても地域でサポートを受けながら安心
して暮らせる沖縄県を目指して、今後は、県民の皆様への認知症に関する情報発信や啓発活動についても積極的に取り組んでまいりたいと存じます。