診療科の紹介:麻酔科

手術を受けるあなたの傍にいる医師.それは麻酔科医です

  皆さま、こんにちは。私は、琉球大学医学部附属病院麻酔科および集中治療部の垣花学と申しま す。平成26年5月1日付で、当院の麻酔科長に就任いたしました。当院では、年間5000件以上の手術 が行われており、またおよそ400症例が集中治療室で治療されております。当院の麻酔科は、手術室 における麻酔管理、集中治療室での診療および痛みの治療を専門としたペインクリニックを、19名 の専門医および6名の標榜医で担っております。

 手術による治療は、ほとんどの患者さんにとって一生に一度の重大な出来事であります。手術を受 ける前の精神的な負担、手術中と手術後の肉体的な負担はそれを受けたものでしか理解できない、 計り知れないものです。麻酔科医は、麻酔技術を駆使しその負担をできる限り緩和することを仕事と しています。特に、麻酔管理における安全性の確保には、最大限の注意を払っております。具体的に は、当院では手術を受ける患者さんの手術前評価(術前回診)を麻酔専門医を含む2名以上で行い、 患者さんの状態を見逃すことのないようにしています。また、麻酔管理で最も不安定な時期である麻 酔導入(麻酔開始時)と覚醒(目を覚ますとき)時にも、必ず麻酔専門医を含む2名以上で管理して おります。このような体制は、沖縄県内唯一と自負しており、患者さんの安全管理に万全を期してお ります。さらに、手術後の痛みを和らげる術後鎮痛も積極的に取り入れ、痛くない術後を提供できる よう努力しています。

 現在では、外科技術の向上により低侵襲手術が発達し新生児から高齢者まで手術を受けることがで きるようになっています。手術前に心臓、肺、肝臓、腎臓など重要臓器が弱っている患者さんもい らっしゃいますが、このような症例においては手術後に集中治療室で治療をすることで、安定した 術後管理も提供しております。集中治療室では、日中は4名の専従医そして夜間は2名の当直医によ り24時間体制で患者さんの状態をモニタリングし、適切なタイミングで適切な治療を提供していま す。この集中治療室の体制も、当院の安全管理に大きく貢献しております。

 麻酔科医は、手術を受ける患者さんの痛みを取り除くことを仕事にしておりましたが、その技術を 利用しあらゆる痛みに苦しむ患者さんに対するペインクリニックも行っています。3名のペインクリ ニック医により、様々な頭痛、首の痛み、腰の痛み、腕の痛み、足の痛み、おなかの痛み、肋骨の痛 みなど体中の痛みに対し、適切に診断し適切な治療を提供できる体制です。

 麻酔科医は、患者の性別、年齢、疾患などに関わらず全ての患者さんに対応しなければならない特 殊な診療科であります。病院の中ではあまり目立たない“縁の下の力持ち”的な存在ですが、患者さん の近くに必ず存在している医師です。何かご不明な点がありましたら、遠慮なく麻酔科医に声をかけてください。これからも皆さまを守り続ける診療を行います。