特集:産婦人科

形成外科の役割:清水雄介(特命教授)

 琉球大学医学部附属病院の形成外科新設に伴い、平成27年2月1日付で赴任した清水雄介と申します。元より身に余る重責ですが、誠心誠意をもって診療にあたり、良質な形成外科医療を提供できるよう精進する所存です。
 私は平成10年に慶應義塾大学を卒業した後、2年間にわたる形成外科、皮膚科、麻酔科、救急部研修を行い、さらに3年半にわたる一般外科、耳鼻咽喉科研修を行いました。その後小児専門病院を含む5つの病院で形成外科の診療に専心し、平成22年からは慶應義塾大学形成外科のスタッフとして様々な疾患の治療を行い、形成外科疾患のほぼ全領域に対応する力を身につけました。
 形成外科は先天的、後天的なハンディキャップを機能面、整容面で改善することを目的としています。日本では1960年代に登場した比較的新しい科ですが、対象とする疾患は幅広く、現在では基本診療科として総合病院には欠かせない役割を担っています。形成外科は再建外科、外傷、先天性疾患の3つの柱で構成されます。以下に説明いたします。


1. 再建外科

主に関連診療科からの依頼で頭頸部癌、乳癌、体幹部の腫瘍切除後に欠損した組織を他の皮膚・筋肉・腸管等で再建します。近年は陳旧性顔面神経麻痺、子宮癌切除後の下肢リンパ浮腫、義眼床作成などの治療も積極的に行われます。
2. 外傷
主に頬骨骨折、眼窩底骨折、上顎骨骨折、鼻骨骨折などの顔面骨骨折や、外傷後の変形などに対して治療を行います。
3. 先天性疾患
先天性眼瞼下垂、小耳症、口唇口蓋裂、頭蓋変形、漏斗胸、手足の変形、静脈奇形、母斑などに対して治療を行います。

 

 以上の疾患の他に、他科で困難とされた症例も扱うため、多岐にわたる広範な知識と技量とアイデアが要求されます。外観を治療するという本質から、診断学の側面は少なく治療学としての"手術"が形成外科の中核となります。手術では皮膚をきれいに縫合する、骨を切る、組織を移植するだけでなく、顕微鏡下で直径1oに満たない血管・リンパ管、神経を縫う技術(マイクロサージャリ―)も必須で常に鍛錬が必要です。
 私はこれから全力で琉球大学医学部附属病院形成外科の発展を目指します。また、多くの後輩を育てて病院全体を活性化させ、最終的には沖縄県全体の医療の質の向上に貢献したいと考えています。皆様の厚いご支援とご指導を賜れると幸いに存じます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。