特集:産婦人科

子宮頸がんに対する妊孕性温存手術-手術後も妊娠・出産できる可能性を残す-

子宮頸がんに対する妊孕性温存手術-手術後も妊娠・出産できる可能性を残す-
近年、子宮頸がんは20歳代、30歳代の若い患者さんの増加により、手術後も妊娠・出産できる可能性を残す(妊孕性温存)手術を希望する患者さんが増えています。
1.子宮頸部円錐切除術
  子宮の入口だけ小さく円錐形に切除
 上皮内がんや微小浸潤がんの一部の患者さんには、この手術による妊孕性温存を行います。
2.広汎子宮頸部摘出術
  子宮頸部のみを周囲組織とともに広く摘出
 子宮頸部浸潤癌の中で腫瘍が2cm以下の患者さんが対象となります。子宮頸部だけを通常の子宮頸癌手術のように広く摘出し、子宮体部(赤ちゃんが妊娠する場所)と腟を縫合することで、手術後も妊娠・出産の可能性を残すことができます。手術後の再発率は4〜5%で標準的手術と同等とされています。当科でも2008年より本手術を取り入れ、現在までに20人の患者さんに実施し、1人の患者さんは手術後に妊娠し満期で出産されました。

【妊娠中の広汎子宮頸部摘出術】
 妊娠中に子宮頸がんが見つかった場合、通常は妊娠を諦めて子宮を摘出します。当院産科婦人科において昨年8月、妊娠17週の早期浸潤子宮頸がんの妊婦さんが本手術を受け妊娠を継続し、妊娠38週目に無事健常児を出産しました(大阪大学に次ぎ国内2例目)。現在も母児ともに健康です。今後も新たに妊娠、出産できる可能性があります。妊娠中も選択肢になると考えられます。

   

特集:病院新体制

歯科口腔外科 准教授 西原一秀
歯科口腔外科 准教授
西原一秀

口唇口蓋裂児の健やかな笑顔を目指して

 この度、平成26年4月1日付けで琉球大学医学部附属病院歯科口腔外科 准教授に 就任いたしました。私は、平成元年3月に鹿児島大学歯学部を卒業し、その後口腔外科医として口唇口蓋裂治療を主に、歯科インプラントや顎変形症、口腔悪性腫瘍など多くの治療を経験、勉強させて頂きました。
 口唇口蓋裂は顎・顔面の形態異常および、それに由来する種々の口腔機能障害を伴う先天異常で、種々の障害が患者および家族に与える苦痛ははかり知れないものがあります。口唇口蓋裂患児が心身ともに健全な状態で社会生活を営むためには、出生直後から成人に達するまで多岐にわたる治療が必要で、これらの治療を円滑に行い、所期の目的を達するには多くの人々の円滑なチームワークに基づく一貫治療が不可欠となります。今後は、琉球大学医学部附属病院口唇口蓋裂センターにて口唇口蓋裂専門治療の充実と技術の向上を図るとともに積極的に社会活動を展開し、口唇口蓋裂患児の健やかな笑顔を育む治療、環境作りに取り組みたいと思っています。また、これまでベトナムやエチオピアなどで行ってきた海外医療援助活動を継続するとともに、琉球大学で行われて来たラオス国での支援活動に参加して、発展途上国の人々に技術移転を行い、広く国内外において口唇口蓋裂医療の発展に貢献したいと考えています。
 今後とも、沖縄県の歯科口腔外科の発展と口唇口蓋裂治療の充実を図るために頑張りたいと思いますので、ご助言・ご指導をよろしくお願いします。