特集:病院新体制

病院情報システムと臨床研究倫理審査を担当しています 青木陽一 副病院長・産科婦人科長

 病院情報システムについてですが、病院には多くの部門(各診療科、検査部、放射線部、病理部、薬剤部、看護部、事務部等)があります。これらの部門が連携・協力して診療することで、病院機能を十分に発揮すること ができます。病院情報システムとは、診療する上で必要な様々な情報を共有・伝達し、病院業務をサポートするコンピューターシステムのことです。電子カルテを中心としたこのシステムにより、病院業務の精度向上と効率化をはかり、究極の目的としては「患者さんに良質で安全な医療を快適に受けていただく」ことが病院情報システムの役割です。現在、琉大病院ではこのシステム更新 ―新しい電子カルテへの切り換え― の時期を来年2月に控え、職員がより使い易く、患者さんにより快適に大学病院として相応しい“ジョートー(上等)な”医療を受けていただけるよう、鋭意準備を進めています。

 もう一つの担当は、臨床研究倫理審査です。これに関連して近頃、降圧剤の臨床試験やSTAP細胞などが世の中を賑わしていますが、臨床研究は日に日にその重要性を増しています。というのは、本当に最良の治療法かを確認するには、臨床研究に頼らざるを得ない場合が多く、そしてこの「臨床研究を行う場合、被験者である患者さんの福利に対する配慮が、科学的および社会的利益に優り、患者さんの尊厳や人権を守ることが絶対条件」であります。これが臨床研究倫理であり、これに違反がないか琉大の臨床研究の倫理審査をしています。年々審査件数はうなぎ登りに増えていますが、医療技術の進歩と患者さんを守るため、厳しくチェックしていきます。

安全で安心な医療を目指して 近藤毅 副病院長・精神科神経科長

 平成26年1月より、副病院長として医療における安全管理対策を担当しています。これまでは、精神科神経科長として主に科内の診療の流れに気を配ってまいりましたが、当科においても身体的リスクを抱える患者さんは多く、安全な医療を心掛けるためには意識的な対策が必要でした。本院全体を見渡しても、医療は日進月歩で高度化しており、最新の医療器材や機器の導入によるモニタリングや新しいテクノロジーを取り入れた先進医療に目が向かいがちですが、基本的には人間が医療を行っているということを忘れてはならないでしょう。

 安全管理対策室長を経験して、医療にリスクが付随することが不可避であることを実感するとともに、完全無欠な医療に向かうよりも安全を底支えする知識や対策を充実させ、セキュリティーに厚みのある医療を目指すことがむしろ重要であると痛感します。ヒューマンエラーは必ず起こります。しかし、小さな失敗のうちに学べれば大きな事故には至りません。また、エラーに焦点を当てるばかりでなく、機能的な部署においては、なぜうまくいっているのか、についても着目していければと考えています。インシデント・レポートは安全情報に再利用 して共有され、安全管理の巡視は各部署での工夫を発見しその普及を図る目的も備えています。

 安全な医療を目指すためには、皆様から積極的な情報提供が必要です。それは、患者さんが安心できる医療を提供するばかりでなく、医療を行う当事者であるわれわれを守ることにもつながるのです。安全管理においても 県民からの信頼度が高い琉球大学医学部附属病院であり続けたいと思います。