特集:病院新体制

南に開かれたリーディングホスピタルたる新生琉球大学病院をめざして 石内勝吾 副病院長・脳神経外科長

 本年1月に國吉病院長を支える新しい執行部の一員に加わりました脳神経外科の石内でございます。琉球大学 医学部附属病院は旧国立大学の中で唯一再整備が開始されていない大学病院となっています。来るべき東アジアの時代の幕開けにふさわしい南に開かれたリーディングホスピタルたる新生琉球大学病院をめざして皆様方とともに病院作りに専念したいと思いますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

 新しい病院は旧来の病院のリニューアルではなく全く新しい発想で作る事が大切であると思います。世界的な建築家の安藤忠雄氏から病院建築の助言として「プールを作れ」といわれました。患者さんのためではなく忙しい医療従事者のために。安藤氏ご自身ががんの手術をした時の経験から深夜まで手術していた主治医が朝8時には回診している姿を見て医療従事者がまず元気でないと病院はいけないと思われたそうです。若い職員の新しい発想を遠慮なく執行部に提案していただきたいと思います。

 収益性と安全性の追求に加えて新しい発想で新しい時代の幕開けを迎えるために日々努力を惜しまない-日常業務は凡事徹底の精神で-どうぞよろしくお願いいたします。

琉球大学医学部附属病院の高度・先進・安全医療 澤口昭一 副病院長・眼科長

 医学・医療の進歩は目覚ましく、ついこの前までは手術が治療の中心であった病気がいつの間にか薬物で治療されているということがよくあります。例えば、胃潰瘍は私が新潟大学の医学部学生の頃は開腹手術で治療されていました。私の高校の同級生は受験勉強真っ最中に潰瘍になって手術を受け1年を棒に振りました。私もアメ リカ留学中に潰瘍になりましたが、当時普及し始めていた抗潰瘍薬で治りお腹を切らずに済みました。さらに今ではピロリ菌を除菌し潰瘍どころか、胃癌まで減らしています。

 眼科領域では20年前までは白内障は水晶体を全部取って、術後は分厚い眼鏡の使用を余儀なくされていました。 このため日常生活に困るまで手術をしませんでした。しかし今では超音波白内障手術で、安全に比較的短時間に手術が行われています。少しでも白内障で見づらくなると視力は正常に近くても患者さんの希望次第では手術を行います。沖縄県では閉塞隅角緑内障の頻度が本土の約4倍と非常に多いことを久米島研究(2005)で明らかにしました。閉塞隅角緑内障も実は多くの患者はこの白内障手術で治ります。緑内障が白内障の手術で治るということは以前には全く考えられませんでした。

 本院では多くの診療科で本土の国立大学附属病院に追いつけ・追い越せを目標に研究、診療に励んでいます。 常に最新の治療法の導入と治療成績の向上を目指し、安全で確実な再現性の高い医療の提供に努めています。今後とも病院職員一丸となって医療レベルの向上を目指し進化を続けていきます。皆様の温かい叱咤・激励ととも にご理解とご協力をお願いします。