皮膚科(皮膚外科)の紹介 眞鳥 繁隆 皮膚科 医局長

 皮膚は人の体全体を覆う人体で最大の臓器です。皮膚の機能は外界と直接触れるため、(1)体内の水分喪失の防止、(2)体温の調節、(3)微生物や物理化学的な刺激からの生体の防御、(4)感覚器としての役割など生命を維持するための多様な機能をもっています。そのため、皮膚科では、湿疹・皮膚炎、アトピー、薬疹、膠原病、血管炎、外傷、熱傷、褥瘡、水疱症、角化症、色素異常症、皮膚付属器疾患、良性腫瘍、悪性腫瘍、感染症など、実に多岐にわたる疾患を対象に治療します。そしてまた、赤ちゃんからお年寄りまで全年齢層にわたり診療するのも特徴のひとつです。

 皮膚科の印象として「痒い、水虫」を思い浮かべる方が多いと思います。大学病院では上記のような疾患群のなかで重症な患者さん、特に入院が必要とされる患者さんを中心に診療を行っております。沖縄県には皮膚科の入院施設が少なく、生命に関わる皮膚疾患、皮膚悪性腫瘍の手術・化学療法などの入院治療を多くの患者さんが当科で受けております。

 当科では医師数名を一つのグループとして入院患者さんを受け持つ、グループ診療を行なっております。今回は、手術を担当する皮膚外科グループについて御紹介致します。

 皮膚外科グループは頭部からつま先までの皮膚病変、すなわち体表を覆う皮膚・皮下の疾患を対象とする外科系のグループです。私どもは良性腫瘍、悪性腫瘍、難治性潰瘍、褥瘡、熱傷、瘢痕、外傷などの手術や化学療法などの集学的治療を主に行っております。また、手術方法は疾患の発症部位の特性に応じたきめ細かさが必要です。できる限り、術後の整容面・機能面を配慮しつつ治療を行っております。皮膚・皮下だけではなく内臓まで及ぶような手術の際には、他の外科に御協力を頂き、より専門性の高い手術を心がけております。

 平成23年1月より12月の1年間では、入院手術が110例、外来手術が147例、悪性疾患の手術は62例でした。皮膚悪性腫瘍のなかで予後の悪い疾患に悪性黒色腫があります。この悪性黒色腫(手のひら、足の裏のほくろのがんともよく言われるもの)において、最初に転移を起こす可能性のあるリンパ節(センチネルリンパ節)の生検も行っております。これにより、所属リンパ節廓清術の適応を見極めることができ、病期の進行度に応じて的確な治療が選択できます。

 最近では手術部・麻酔科に御協力を頂き、伝達麻酔下での手術も行っており、患者さんの術後の疼痛をできる限り緩和できるようになりました。

 沖縄県がん診療連携拠点病院である当院皮膚科では、より高いレベルの治療・手術を皆様に御提供できるよう今後も努めてまいります。皮膚疾患でお困りの際には是非当科へ御相談下さい。