JPAPオレンジサークルアワード2011特別賞を受賞して 中村 清哉

 平成23年8月、札幌で開催された日本緩和医療学会にて、琉球大学緩和ケアチームとして、JPAPオレンジサークルアワード2011特別賞を受賞しました。JPAP®(ジェイパップ)(Japan Partners Against Pain® 代表世話人: JR 東京総合病院名誉院長 花岡一雄)とは正しい痛み治療の普及と理解の浸透を目指し、医療従事者が設立した非営利の任意団体です。「オレンジサークル」とは、"がんの痛みを取り除くことで、患者さんが、がんそのものと取り組む気力や体力を得る" という考え方を実践する医療チームの活動をサポートするJPAP®の取り組みで、医療チームからの登録申し込みに基づきJPAP®が認定しています。その活動の一環として、緩和ケア活動の院内・院外での認知度をさらに高め、よりよい治療の普及と発展に寄与するべく、毎年「JPAP®オレンジサークルアワード」を実施しています。2011年度は全国から22の緩和ケアチームが参加しました。

 琉球大学医学部附属病院緩和ケアチームは1999年に発足しました。現在は院内の緩和ケア患者に対してコンサルト形式で対応しており、精神領域、身体領域で専門外来も開設しています。週に一度、緩和ケアチームカンファレンスを開催し、身体領域、精神領域担当医の他、リハビリ科医師、薬剤師、専門看護師、地域連携担当看護師、地域連携室のご協力のもと活動しています。院内での医療者向けの緩和ケア講演会や、緩和ケア週間の展示活動なども行なっています。院外の活動としては、沖縄県は5つの二次医療圏の内、過疎地域の北部、宮古、八重山医療圏に地域拠点病院がないため、医療者だけでなく患者さんや市民にも、緩和ケアの普及・啓発・向上を図る必要がありました。そこで「院内から離島へ」というスローガンのもとに、宮古、八重山医療圏内で医療者向けの研修会や一般向けの講演会をひろく実施しました。これらの活動が高く評価され、今回の受賞につながりました。これまで医師、医療従事者向けの緩和ケア講習会を、都道府県がん診療連携拠点病院として毎年主催してきましたが、どうしても離島からの参加は難しい現状がありました。そこで宮古、八重山医療圏で本島と同じ講師陣で緩和ケア講習会を行い、多くの医療従事者に参加していただきました。

受賞

 今回の受賞理由としては、これからの離島における緩和医療が発展していく上で、当院緩和ケアチームが重要な役割を果たして欲しいという期待が高いと考えます。院内、本島内にとどまらず、"必要な医療をどんな場所でも提供できる"体制を目指して、努力していきたいと思います。