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  本年度8月より、骨髄移植センター長に就任いたしました。 
 沖縄県において、発症頻度の高い成人T型細胞白血病リンパ腫(ATL)等の難治性血液腫瘍や重症再生不良性貧血の克服は必須であります。また小児においては原発性免疫不全症や一部の先天性代謝異常症なども骨髄移植が唯一の根治療法となります。このようなニーズに応えるべく、最適な化学療法と造血細胞移植療法との併用及び安定的で効率的な移植療法の技術基盤を確立することを目的としたプロジェクトが立ち上がり、4月1日付けで骨髄移植センターが設置されました。これまでも、第二内科、小児科においてそれぞれ移植医療を担ってきましたが、医療現場の厳しさもあって人材確保、予算の面で多くの困難に直面していました。この状況を改善して欲しいという県民からの強い要望は署名運動として現れ、ここに骨髄移植センターとして結実したわけであります。
 骨髄移植は1970年代にその基本的技法が確立されました。遺伝的に異なる他人からの細胞移植は当然、移植片拒絶、移植片対宿主病(GVHD)という免疫の根源に関わる問題に直面します。これを克服するための歴史が移植の歴史そのものでした。ヒト白血球抗原(HLA)とその適合の重要性の発見、効果的免疫抑制剤の開発がこの問題を解決してきました。しかし、これらは未だ移植に際しての大きな障壁となっています。一方、造血幹細胞のソースも骨髄から末梢血、さらに臍帯血へと広がり、さらにHLA不一致移植の試みなど、移植医療はますます多様化、高度化の一途をたどっています。このように、造血細胞移植は保険適応の医療でありながら、まだまだ基礎医学の立場から未知の分野が多く、臨床でも経験に基づく判断に頼らざるを得ない状況に直面しています。しかし、より多くの患者さんにより安全で有効な移植を提供したいという医療者の熱意は強く、骨髄移植センターはその目標に向かって基盤整備と人材育成に邁進したいと思います。
 骨髄移植については、骨髄バンクという社会的に重要な事業があります。非血縁ドナー確保のため厚生労働省主導のもとで公的事業として行われ、その使命は善意からの骨髄提供を仲介、推進することです。平成22年7月時点で、有効登録数364,616人、累積移植実施数は11,997件に上っています。本県では琉大病院が唯一のバンク認定施設として、移植およびドナーの採取を担ってきました。特に、本県の人口当りのドナー登録数は全国平均の約3倍にも上っており、琉大病院の社会的責務、貢献は多大なるものがあります。
 このように骨髄移植センターは多くの期待と責任を負いながら発足しましたが、他診療科、看護部、検査部、放射線部、薬剤部、NST、医療支援課等々、院内各部署との連携協力が不可欠であります。今後の皆様のご支援をぜひお願い致します。

 
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