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琉球大学医学部附属病院長 
須加原 一博 琉球大学医学部附属病院移転25周年を迎えて
 琉大病院で病院長補佐と第一外科長をしています西巻です。今回は悪性の疾患で治療が難しい“がん”という病気をいかに征服してゆくのか、琉大病院の取り組みについてご紹介したいと思います。
 わが国が長寿国となって久しい感があります。しかし悪性新生物、すなわち“がん”による死亡だけは年々増加の一途で収まる気配がありません。平成19年の厚生労働省の人口動態統計を見ますと、わが国の死因の実に3割が悪性新生物であります。それ故に“がん”の征圧が医療行政上、喫緊の課題となっているのです。
 “がん”はもともと私たちの身体をつくっている細胞が異常になることで起こる病気です。ですから身体の様々な組織や臓器に発生します。その中でも大腸癌、胃癌、肝癌、乳癌、肺癌は代表的な“がん”で、5大がんと云われています。そのうち4つのがん治療を琉大病院では第一外科が担当しています。
 “がん”の治療には、種類や進行段階に応じて様々な方法があります。代表的な治療法は外科的切除つまり手術、抗癌剤を用いる化学療法、そして放射線療法の3つです。第一外科では手術という武器を用いて、消化器、乳腺・甲状腺、そして小児の“がん”の最前線で闘っています。
 冒頭に“がん”の治療は難しいと述べました。それ故、“がん”との闘いでは有効な組織と戦略が必要となります。琉大病院は、がん診療連携拠点病院として沖縄県の“がん”診療ネットワークの中核を担っています。いわば前線司令部として機能しています。
 ではどのような戦略で臨んでいるのか。先ほど“がん”治療には様々な方法があると述べました。しかし、それらの治療法には固有の長所と短所があります。手術は有力な治療法ですが、メスが及ぶ範囲に病気が留まっていなければ“がん”を治すことが出来ません。そこで琉大病院では互いに異なる治療法を得意とする診療科がチームを形成して“がん”の治療にあたっています。例えば手術が出来ない段階まで進行した“がん”でも、化学療法と放射線治療で病気の広がりを縮小させて手術を試みるなどの方法です。
 さらに琉大病院では患者さんの身体にやさしい低侵襲治療にも力を入れています。第一外科では多くの消化器癌の手術が腹腔鏡手術で行われています。また直腸癌に対して人工肛門を造らない手術も多数実施し、良好な生活の質(QOL)を得ています。
 さて琉大病院の実力は?これが皆さんの最大の関心事でしょう。がん治療水準の全国均てん化が医療行政の大きな目標です。琉大病院全体の評価はこれからですが、最近解析した第一外科の治療成績は全国トップクラスの水準に達していました。
 ですから安心して琉大病院で“がん”の治療を受けて戴きたいと思います。皆さんがもし本土の病院でなければ最高の“がん”治療を受けられないと考えておられるなら、それは誤解です。琉大病院では今後さらに最新鋭の医療機器を導入して未来の“がん”治療を拓いてゆくつもりです。 

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