本年2月1日より新しい病院情報システムが稼働を開始してほぼ半年が経過しました。導入後大きな事故も発生せずほぼ順調に経過しております。これも、2年余りの期間をかけて導入準備をし、また現在もシステム維持にご努力されている関係各位の皆様のお陰であると本誌面を借りまして厚く御礼を申し上げます。
さて、本新システムの目玉は、1.電子カルテ(いわゆる“デンカル”)の導入、2.画像サーバーによる医用画像の端末機への配信が大きな柱です。その目的はより効率的な医療の実施にあります。過去のものも含めて、ほぼすべての患者情報は“デンカル”内へ収納され、その情報は院内の多くの端末機で見ることができるため、それを参照して患者さんへの医療提供が迅速に且つ的確に行われます。特に、医用画像は、瞬時に過去から現在までの多くの画像を提供することが可能で、かかる資料を示しながら患者さんへの病状説明が行えるためその理解にも有用であると思います。
しかしながら、その便利なシステムも最終的に使用するのは人間、すなわち我々医療者であります。導入直後の混乱期を経て半年が経過した現時点でも、まだ習熟とまではいたっておらず以前の診療時間以上の時間を要し、また、外来においては操作に熱中して患者さんに向かわずコンピューター画面ばかりを見て、多くの患者さんにご迷惑をかけているやもしれません。もちろん、我々全医療従事者は、従来とも変わらず患者さんに真っ正面から向き合っているのは間違いないことであり、さらに、一日も早く本システムを十二分に駆使出来るように習熟し、より効率のよい診療がおこなわれるようにと懸命になっていることを、患者みなさんが御理解いただけたらと思います。
医療の質は、必ずしもこのような病院情報システムの利便性で決まるものではないことはご承知のとおりですが、今回導入した新しいシステムを基盤として安全でより効率的な医療を提供し、さらなる良質な医療の向上に努めていけるものと考えております。
|