一般にいう「もの忘れ」とは、人や物の名前がとっさに出なくなったり、物の置き忘れが目立ってきたりしたことをいいます。ただし、これらの多くは何らかのヒントやきっかけで思い出すことができるもので、いわゆる加齢に伴う「生理的な現象(良性健忘)」といわれるものです。この状態は病気としてとらえるより、加齢現象と考えられ、時間的な経過でも極端にもの忘れが進行することはあまりありません。一方、家族で旅行に行った、親戚の結婚式に出席したなどの出来事そのものを忘れてしまったり,今朝の食事の内容あるいは食べたこと自体を全く思い出せないなどのもの忘れは「認知症」と呼ばれる病的な状態である可能性があります。「認知症」には、甲状腺機能異常やビタミン欠乏症あるいは脳炎、脳腫瘍などが原因で起こる治療が可能な認知症と、アルツハイマー病や脳血管障害後遺症に伴う認知症など根本的な治療が困難なものに分類されます。 |