平成14年5月25日

     University Hospital University of the Ryukyus          

琉大病院 HOTLINE 第20号

琉球大学医学部附属病院の患者様・職員のための情報誌

 

 

新病院長 就任ご挨拶

今日の診療とインフォームドコンセント

 日常医療の現場でインフォームドコンセントという言葉は、この十数年来頻回に使用されるようになり、今日では診療行為においては最も重要なキーワードとなっております。その源は世界医師会総会におけるヘルシンキ宣言(1964年)、リスボン宣言(1981年)であり、また日本においては1990年日本医師会生命倫理懇談会による「説明と同意」についての報告以来、インフォームドコンセントに対する認識が急速に深まって参りました。インフォームドコンセントの日本語訳にあたって「説明・理解と同意」「説明と理解・納得・同意」または「十分な説明と理解に基づく同意」とするなどの提案もありましたが、結局「インフォームドコンセント」の原語のまま用いることにしたとされています。

 このような背景と人権意識の向上・マスコミ等による豊富な医療知識の提供などにより、今日では緊急事態を除き、患者様への十分な説明と同意なしでの医療はあり得ないと言うことであります。

 しかしながら、医師以外の第三者側からみれば、医師と患者様との間にはまだまだ認識に隔たりがあると言う指摘もしばしば聞かれます。つまり、医師側の説明と患者様およびご家族との理解度のギャップがこの原因と思われます。医師は患者さんを診察し検査結果等をもとに病名診断を下し、それに基づいて患者様の年齢・体力・理解度・ご家族の協力体制の有無などを背景に、最良と考えられる治療法を患者様ならびにご家族と相談して決定しますが、患者様やご家族はその細かい内容が理解できず、不安のまま過ごしていることもしばしばみられます。従って医師の説明は患者様およびご家族の理解度に合わせて、専門用語を使わずに分かりやすく丁寧に、時間をかけて行うことが、望ましいインフォームドコンセントと言えましょう。私も長い間心臓血管外科医の立場から、これまで数多く患者様に手術にあたっての説明を行ってまいりました。しかしながら、手術方法・手術時間・起こりうる合併症(余病)・手術の危険性・入院期間・手術後の健康状態(QOL)など、時には図を書いて解りやすくお話ししたつもりでも、なかなか十分には理解して頂けないこともありました。このような時には理解できる家族や知人の同席を求めて、再度説明を行うことで可能な限り必要な治療の内容を理解して頂くように努めてまいりました。また、医師がインフォームドコンセントを行う場合の基本的な姿勢は、患者様の社会的地位などに関わらず、相手の人格を限りなく尊重する気持ちを持つことであると考えます。

 患者様によっては説明を受けた後に、「先生にすべてお任せします」と言う方も少なくありません。
 お任せすると言っても理解が不十分の場合には、後で「こんなはずではなかった」 ということもあり得ますので、「何の検査ですか、なぜこの検査が必要なんですか」など気軽に医師に疑問点をお聞ききすることをおすすめ致します。このように患者様と医師の間で疑問点に対する質問などより多くの対話を通して、「元気の出るインフォームドコンセント」が得られ、より良い医療に必要なお互いの信頼関係が築かれるものと考えます。  

(病院長 古謝景春)

 

病院長古謝景春

 

 

副病院長誕生

本院は、病院長の職務を代行することが必要なために、副病院長を新たに設置することが出来るという制度を取り入れました。
 その最初の副病院長として太田孝男(小児科長)が4月の病院運営委員会で承認され、5月1日付けで学長から辞令が交付されました。
 複雑な課題に柔軟・的確に対応できる病院運営、地域医療に益々貢献する病院として、直面する問題に対応するため副病院長の果たす役割が期待されています。

(総務課)




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