「排尿記録の雑感」看護教育に役立てて下さい!

 

 泌尿器科外来に通院中の赤嶺貞義様(在職中は教育庁に勤務)から一通のお手紙が届きました。

 赤嶺様には、平成10年に尿失禁(尿漏れなど)の相談に必要であります日常生活における3日間の排尿記録を書いていただきました。現在も書き続けておりますが、尿失禁をコントロールできたことで、2年前から沖縄看護協会での尿失禁看護研修会や琉球大学公開講座そして保健学科看護教育の際には、赤嶺様自作の排尿記録を参考資料にさせていただき、尿失禁ケアの進め方についてお話をしてまいりました。

 この度、尿失禁でお悩みの方や相談を受けた方が勇気づけられれば幸いです。赤嶺様ご本人の許可を頂き掲載いたします。  

              (泌尿器科外来)

 

1.はじめに

 私は、3年前(1997年11月)から「排尿記録」を書き続けている。 毎日24時間1日も欠かさず朝の6時から翌朝6時までを1時間きざみで導尿量、自尿量、失禁、排便、水分摂取量それに備考を記入している。かれこれ3年になるがよくも続けたものだと思う。はじめは治療の参考にと医師のご指導を受けている期間のみのつもりで書いた。書き続けるうちに、いろいろメリットがあることがわかり自分にとっても必要だと思うようになった。  現在は「わがごと」として自主的に進んで書き続けている。1998年12月からは、琉球大学病院の泌尿器科で「骨盤底筋体操」、「排尿の記録」の様式、「介護用品の紹介」それに「生活習慣の改善」などについて、たびたびご助言を頂いている。

2.病歴のあらまし

 1995年(75才)頃から前立腺肥大、神経因性膀胱、排泄不順などで体調をくずした。1998年から体調不良のためカテーテルによる自己導尿をはじめた。

3.「排尿記録」を続けて良かった点

1)受診の際、患者から医師へありのままの具体的な報告資料として役立っている。そうすることが患者としての義務であり責任であると思う。

2)患者は「いのちの主人公」であり、「からだの責任者」である。患者としてこの記録をもとに心の準備をして計画的に医師に質問したりご助言をお願いすることができる。

3)患者としてこの記録から手がかりを得て療養のための自助努力をすることができる。主体性をもって、日常生活の改善ができる。例えば尿量や回数や時間などの変化を見れば「どうすればよいか」を教えてくれるし、反省もする。夢や希望ももてる。自律意識が確立し、生活が活性化する。

4) 毎日記入することは、24時間生活を見つめ、また考える。記入することによって手先を「こまめ」に動かすことだから脳も働くし、ボケ防止にもなる。ともすると年をとると自分よがりになりがちだが、大局から客観するようになる。

5)記録の備考欄にはその日の「主なできごと」も書く。ミニ日誌のように・・・国際情勢や政局のことまで項目的に書くので生活が孤立せずにすむ。

6)この記録が妻との対話やコミュニケーションを深めることに役立っている。

7)医師としても専門的な判断や諸検査とともにこの記録によって患者の体調についての情報を参考にされるのでありがたいことだ。また、長期にわたる継続的なデータだから長いスパンで病状の変化や傾向を把握されご指導くださる。

4.「排尿記録」で気をつけたいこと

1)データに一喜一憂したり、過度に神経を使い過ぎたりせず「落ち込まず」「ゆったり」と「リラックス」して柔軟に対処しよう。

2)何と言っても「記録すること」が目的ではなく、手段だ。この病気を少しでも「快方に向ける」ためなのだ。早く良くなって「この記録」がいらなくなればそれに越したことはないのだろうと考えよう。

5.おわりに  以上、ささやかな感想であるがこの記録を続けて良かったと思う。他律ではなく自分のためだと信じ、続けるつもりである。「わがものと思えば軽し笠の雪」の気持ちでこれからも強く生きようと思う。関係諸先生のご好意に感謝と敬意を表し筆をおく。                

(赤嶺貞義)

 




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