病理部長のご紹介
病院病理部は昭和47年に東北大学医学部附属病院に最初に設立されて以来、28年目にして当琉球大学医学部附属病院にも病理部が設置されました。病院病理部の役目は患者さんの病的組織や細胞の検査・診断をしたり、亡くなられた患者さんの病理解剖を担当して病気の本質や死因を究明する専門分野です。
今まで病理組織検査は、中央検査部の一部として細々と行われて来ましたが、近年は検体数も増加し、また検査内容の高度化、臨床医の卒後教育への関与、地域医療の支援などが求められる状況となってまいりました。これらに対応するためには、それなりの規模の拡大と内容の高度化・充実が必要とされます。そこで、中央検査部から分離独立した病理部に発展させるよう努力した結果
、昨年概算要求がようやく認められ、本年4月に創設されました。新設されたばかりの新しい部ですので、未だ整備途上でありますが、病院の頭脳部門として臨床の診断、治療内容の高度化に直接役立つように機能の向上に努めております。
医療の水準は医学の発展と共に高まり、止まることのない高度化や近代化が求められます。この中にあって、病理部は直接、医学や医療技術の進歩に併せてその機能を支えているセクションです。
また、剖検に関しましてはエイズ、プリオン病やウイルス性肝炎やその他の危険な感染症があり、昨今は執刀者への危険性が認識されるようになってきました。感染対策を十分に考えた剖検室の設置や体制作りが求められるようになっています。高度医療を行う特定機能病院である国立大学病院としましては、優れた病理診断部門の充実は必須条件です。しかし、教官や技官の数が絶対的に不足しており、基礎の病理学講座の応援なくしてはその機能の維持すら困難な有様です。
日本の医療のレベルがいくら高度化しているといっても、それを実行し支える医療人の増員や制度の運用に充分な予算が掛けられ、充実が計られなければ日本の医療に明るい未来はありません。
今の貧弱な状況で事足りる訳はありませんので今後も努力していく積もりです。
今後とも皆様のご理解・ご支援の程を宜しくお願いいたします。
(病理部長 伊藤悦男)
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