新教授ご紹介
このたび九州大学から赴任して参りました、放射線医学の村山貞之と申します。放射線部も担当しております。もともと南九州出身でもあり暑いところは大好きで、沖縄の地は、学生時代2回、医師になってから2回と、好んで訪れていました。
放射線医学は、内科系の先生が聴診器、外科系の先生がメスというシンボルに匹敵するものがなく、なじみが浅いとお考えの方もあると思います。
放射線医学は、大きく診断学、核医学、治療学の3分野に分かれています。私は診断学が特に専門です。放射線診断学は、最近は放射線をエネルギーとした画像だけではなく、超音波や磁気を使った画像も、その範疇に入っていますので、画像診断学ともいわれています。いわゆるレントゲン写真から、最新のCT,
MRI, 超音波検査に至るまで、画像が示す所見を系統だって勉強し、正しい診断を下す学問です。私の場合、特に、臓器では肺、縦隔、乳腺の胸部領域の疾患を専門的に研究しています。
この10年は肺癌、肺結核、肺感染症、縦隔腫瘍、乳癌の画像的特徴の研究を進めており、精度の高い術前診断、治療前診断をめざしています。
私が九州大学医学部の放射線科に入局した18年前は、CTにてやっと一横断像20秒程度の撮像が可能になり、胸腹部のCTが撮れる装置が出現した時代でした。その後の放射線診断学の発展はめまぐるしいものがあります。さらに現在CTやMRIは撮影法の進歩により高速化が実現し、一日の検査数が以前より急増しています。来年度の予算で最新のCTが導入されます。これを機に、さらに検査数の倍増が期待されています。また3次元画像が日常的に作成できるようになり、いわゆるvirtual
reality (仮想現実)の医療への応用が、より現実的になってくる予定です。
その他の放射線医学の側面として、血管造影などを駆使して治療を行う、IVRという分野、核医学では脳の機能画像なども進歩してきています。
また、現在縮小手術などの機能温存の治療法が叫ばれてきており、悪性腫瘍に対する放射線治療も重要視されています。このような状況の中で、まずは我が放射線科は全体のレベルアップをはかり、地域医療に貢献していきたいと思っています。沖縄県は、放射線科医の数がまだまだ足りません。今後発展していく放射線科への学生諸君の多数の入局を期待しています。
私のもう一つの研究分野としてコンピュータ支援診断があります。これは、たとえば、乳腺撮影で異常所見のある部位をまずコンピュータに診断させて、その後を人間がチェックするといったものです。10年後の医療ではX線フィルムは姿を消し、モニター上で画像を観察し、横には頼りになるコンピュータ君がいるという状況になるのは、ほぼ間違いないと思っています。こういった点でも沖縄に最新技術の導入を図っていきます。
(放射線科 村山貞之)
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