手術部の有効利用について

 我が琉球大学医学部附属病院は、沖縄県内唯一の高度先進医療の担い手として地域医療に大きく貢献してきました。中でも各外科系臨床講座においては先進医療の多くが手術部において行われますが、手術内容の多様化、高度化そして成績の向上は著しく、一方で当院で手術を希望する多くの患者さんに対し、主要外科系講座では手術待機日数の遅延等の慢性的問題が生じております。更に平成11年4月から当院において本格的に開始された一次救急患者の受け入れは、手術部に一層の多忙さをもたらしました。このような背景から、琉大病院手術部の有効利用は更に重要な問題となっております。

 これに対応すべく、我が手術部では運営会議を中心に種々検討され、現在では重症緊急手術に迅速に対応すべく麻酔医、手術部看護婦が24時間、常時待機するシステムをとっております。ちなみに平成11年の手術部における総手術件数は3142件で、内586件(18.7%)が緊急手術であり、全手術件数は平成10年に比べて4.6%増加しました。先進医療を逐次取り入れた我が琉大病院における臨床各科の手術成績は本邦において優れたものであり、本院での手術を希望する患者さんは更に増加しております。このようなことから、手術待機時間の短縮には更なる努力が必要であり、現在手術部では、オンコール手術待機時間の短縮化、看護助手の採用、特定診療科専用手術室の廃止、手術部職員の適正配置、外科系講座の関連学会中の他科への手術枠の有効利用等、関連部署で鋭意検討中であります。

 そこで今回は、手術部有効利用の一環として、平成11年9月1日より開始した琉大病院手術部における”日帰り手術”について記したいと思います。日帰り手術とは入院したその日に手術を行い、その日のうちに自宅へ帰れるシステムです。日帰り手術の第一の目的は様々な患者さんの要求に応える事です。「仕事を何日も休めない」「育児や介護などで家をあけられない」等の理由で手術をためらっていた患者さんでも、生活への支障が少なく手術を受けられます。日帰り手術の第二の目的は増え続ける医療費をいくらかでも減らす事にあります。多くの場合、日帰り手術の医療費は通常の入院による手術より安くなります。

 日帰り手術が安全に行えるようになったのは、最近の麻酔法、手術方法の進歩に負うところが大きいのですが、これを安全、円滑に行うためには手術前の必要最小限の各種検査、及び麻酔医、手術担当医の診察とチェックが必要です。更に、担当する外来看護婦による説明も必須です。昨年9月に日帰り手術を開始して以来、現在までに25人の患者さんが、このシステムを利用されましたが、その病名は多汗症、下肢静脈瘤、グロームス腫瘍、ばね指、腎生検、プレート除去、抜釘、そけいヘルニア、舌小帯短縮、副耳、白内障などであります。このように当院における日帰り手術は、開始後僅か4ヶ月でありますが、担当する外来の看護婦によりますと、多くの患者さんが満足されたとうかがっております。患者さん側の要望により、当院におけるこの日帰り手術は、今後他疾患へも拡大され更に増加することが予測されます。

 このように、県内で唯一高度先進医療を担う琉大病院における、日帰り手術を含む手術の件数増加に伴う手術部有効利用に対する要望は、更に高まることが予想され、我々手術部は、麻酔科、看護部および臨床外科系講座の一層の連携のもとにこれに応えるべく努力する所存であり、関係各位の更なるご支援をよろしくお願い申しあげます。

(手術部 久田友治 古謝景春)



琉大病院の西暦2000年問題に対する取り組み

 昨年とくに年末には、コンピュータ西暦2000年問題が喧しく取り沙汰されていました。西暦2000年問題(Y2K)とは、コンピュータやマイクロチップを組み込んだ電子機器などが、2000年の下2桁を1900などと誤って解釈して、急に止まったり誤作動したりすることを云います。

 本院ではY2Kによって障害が発生することのないよう、1998年(平成10年末)から昨年末までの1年以上を費やして、懸命に取り組んでまいりました。

 そして昨年9月過ぎには、全ての医療機器やシステムの調査と修正を完了しました。また12月末には、たとえ電力や水道が止まったとしても診療を続けられるように、水や発電機の燃料は勿論のこと、食料や医薬品などを充分に備蓄しました。さらに年末年始には昼夜をとわず、医師をはじめとする各職員が出勤して、不測の事態に備えました。

 このような努力の甲斐あって、本院ではY2Kに関わる障害は発生しませんでした。患者さんの生命と健康とをあずかる医療人としての責務、また国立大学医学部附属病院としての責務を果たせたことに、安堵している次第です。

(コンピュター西暦2000年問題対策委員長 小椋 力)




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