治験管理室と治験コーディネーター

 新薬の臨床治療試験を取り巻く状況と当院の治験管理室の業務を紹介します。

 治験とは、国から薬として承認されるため、必要な資料を収集することを目的に行われる臨床試験をいい、
「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP;Good Clinical Practice)」に則り行われています。しかし旧GCP体制においては外国の治験データを日本で承認資料として用いること、そして外国で日本の資料を利用することも認められていませんでした。

 ところが、世界情勢の変化に伴い新薬開発の大部分を占める日本・アメリカ・ヨーロッパの三極において、効果的な新薬を世界中の患者にできるだけ早く提供するために三極間相互の臨床試験データの共同利用化を目指し国際会議が開催されました。1996年のアメリカ会議で臨床試験の実施基準について最終的合意に達し、国際的な基準が提示されました。これを受けて日本のGCPも国際的な基準に合わせることが求められることとなり、新GCPが省令化され、平成10年4月から完全実施となりました。当然その目標は、患者の人権や安全性を守り、また、臨床試験計画の科学性と試験結果の信頼性を確保することです。

 当院においては、新GCPに対応するべく平成9年より体制の整備を図り、平成10年6月に「治験管理室」が新たに設置されました。

 主な業務は、次の5つに分けられます。
1)治験実施に必要な文書・書類の整理・保管
2)治験情報の収集・管理
3)患者教育、相談、観察等の患者ケア
4)患者情報の収集と管理
5)治験に関わる医療スタッフ等への連絡調整等で あります。

 新GCPにおいては患者に係る秘密が当然保全されるこ
とになっています。 スタッフは、薬剤部長を室長とし、
薬剤師1名、事務補助員1名、そしてデータの信頼性確
保、患者のケアという2つの重要な役割を担う治験コーデ
ィネーターとして薬剤師2名、看護婦1名を加え計6人で
対応しています。コーディネーター業務では、お互いの職
能を生かし不得手はカバーし合いながら業務マニュアル作
成を目指し元気いっぱいに対応しております。さらにスタ
ッフをより充実させ本年度中には全治験にコーディネータ
ーを配置できるように準備を進めているところです。

 これからの治験は、チーム治療として治験責任医師を中
心に治験コーディネーターの働きにより医療スタッフ間の
コミュニケーション、そして医療スタッフと患者とのコミ
ュニケーションを円滑にすることで、より質の高い治験を
目指せるものと考えています。私たち治験管理室一同、最
終的には患者様のためになることを認識し尽力していきた
いと思います。

                     治験管理室


治験管理室のスタッフ



琉大病院改革アンケート調査

 文部省の大学審議会の答申等を踏まえて各大学病院は改革しなければなりません。その改革目標を立案し、
行動目標を策定しこの秋までに文部省に提出することになっています。そのため各種の検討を行っています
が、その一環として病院職員全員を対象にしたアンケート調査を去る4〜5月に実施いたしました。御多忙の
ところ御協力いただき誠にありがとうございました。貴重で前向きの御意見が多数寄せられましたが、これら
を生かし改革の目標等の策定に取り組んでおります。

 調査結果は、5月の医学部教授会、6月の病院運営委員会で報告いたしました。紙数の都合で全職員には配
布いたしませんが、職員で御覧になりたい方は総務課庶務係でお渡しいたしますので御遠慮なく御請求下さ
い。

 琉大病院改革に関する職員の全体討論集会を9月に予定いたしておりますので、そのさいには御参加下さ
い。皆様の積極的な御意見を期待しております。

                                        病院長 小椋 力




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